あなたの寿命、あと一年と三日です
レイノール斉藤
悪魔との契約(2018年度版)
「あなたの寿命、後一年と三日です」
「 」
「予知というか、まあ仕組みは天気予報と同じですね。参照する情報量は遥かに違いますが。確かアカシャだかなんだかを参考にしてるとか…あ、申し遅れました。私
「 」
「まあ、私自身は悪魔とか死神とか、それに近い存在ですね。最近はワークシェアが進んで、全部私が担当するわけにいかなくなってるんですが…」
「 」
「そうそう、で、私の担当は営業でして、あなたの寿命を一年頂く代わりに五分間好きなものを見せて差し上げます、という契約を提案するのが仕事です」
「 」
「いやー、こっちも最近はコンプライアンスが厳しくて、さすがに魂丸ごとは暴利だろう…と禁止になったんです」
「 」
「何でも良いですよ。途中で寝てしまって気になっていたあの映画のラストシーンでも、死別した伴侶に会いたいという要望も良く言われますね。過去・現在・未来・距離・場所なんでもござれです!」
「 」
「いやー、そっちは管轄が違うので、死因とかまでは…情報漏洩を防ぐ為もあって、我々に来る情報は対象の容姿と現在地だけなんですよ。まあこれもコンプライアンスってやつですね」
「 」
「ありがとうございます!ではこちらに本名と今日の日付の記入をお願いします……はい、契約完了ですね。ではご希望の視聴内容は?」
「 」
「………はい?」
「で、どうなったんだ?」
「生きているらしいですよ、今も。全く、前代未聞ですよ、まさか『自分がどうやって死ぬか、その最後の五分間が見たい、それが分かっていれば回避出来るかもしれない』だなんて…」
「……そうだな」
「つくづく人間の生への執着には驚かされますよ。まあだからこそ、その魂に価値が出るんでしょうけど」
「ところでⅩⅡ…」
「なんですか?
「お前の寿命…あと一年と三日なんだが…一年縮めて見たい五分間はあるか?」
「………」
「………」
「………そうですねぇ…まあ、強いて言えば… 」
終わり
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