景色

虹色に光る橋の向こうに見える景色はいつでも希望に満ち溢れているものだと思っていた。

アナログを発信し続けていた赤い電波塔も近くに行けばただの建物だという事に気付いた。

絶望した。

煌びやかに見えていた景色も

地上から見ればただのオフィスビルなのだ。

ロマンチズムもクソもない。

だから僕はそんな街を遠くから見る。

ふくよかな女と電話しながら

クルクルした髪の女の腰を押さえながら

眼鏡の真ん中分けと歩きながら。

金持ちの生臭さに溺れるのはまだ早いから

まだ湾岸のこの街で黄昏ることを許してくれ。

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