造花

僕の一番好きな花は造花だ。

本物でないにしても、そこに生命の力強さが無いにしても

造花は散り、朽ちる事の無い花だ。

いつでも「本物に一番近く、一番遠い美しさ」を変わらず持ち続ける。

種に芽が出て、蕾が開き、色鮮やかな花を咲かす。

やがて色が落ち、死んで行き、新たな生命の種を落とす。

生々しくも甘い「愛」の香りを放ちながら、死ぬ。

造花にはそれが無い。朽ちて行く生命の美しさはプラスチックの臭いに置き換わる。

造花。

花言葉があるとすれば「虚しさ」であろう。

しかし、僕はそんな虚しさに惚れているのかもしれない。

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