第26話 嫌な予感

コドモドラゴン達とその様子をポカーンと眺めていると、一人の騎士がアレクに報告に来た。




「アレクセレイ様、密猟者はすべて捕獲致しました。牢獄へと送る手はずは整えてあります」


「ありがとうございます。それとこのコドモドラゴン達ですが、聖域まで送り届けてあげてください」


「畏まりました」




アレクがコドモドラゴン達に「彼らが無事に聖域まで案内してくれますよ」と説明すると、コドモドラゴン達は報告にきた騎士と一緒に行ってしまった。


ルイは私の傍に残ったけれど少しだけ寂しそうだ。




「ルイも、お家に帰らないと」


私がそういうとイヤイヤと、首を横に振りローブにぎゅっとしがみつく。


それを見たアレクは苦笑を浮かべた。


「アザミは随分とその子になつかれているのですね…ルイさん、頼みたいことがあるんです」


その言葉にルイはローブ握ったまま、アレクの方を見る。




「アザミのお家の方に、アザミは暫くクラルテ国でお世話しますと伝えていただけますか?」


「みゃう?」


「えぇ、そうです。伝えて頂けたらクラルテ国の城にいらしてください、そしたらアザミとずっと一緒ですよ?」


「うみゃ!」


「え…ちょっ…ルイ!?」




ルイは心得たと言わんばかりにこくこくと頷くとパタパタと飛んでいってしまった。




今、アレク、私の事を暫くクラルテ国でお世話しますとかいったよね?


それって、凄く……嫌な予感が…


このまま、クラルテ国に連れていかれてしまうフラグ……?






ぐぎぎ、と軋んだ歯車のような動きでアレクを見ればにっこりと微笑まれた。


その笑顔の意味は、考えたくない。






「アレクセレイ様、馬車を用意してあります。どうぞこちらへ」


「分かりました。さぁ、アザミいきますよ」


アレクは私の手を引いてエスコートしながら馬車へと乗せてくれる。




豪華な作りの王家の紋章がついた馬車は、私をこれから恐怖のルートへと導く死神にみえる。




どうしよう、逃げたい……!




けれど、ここで逃げたところで回りは騎士だらけ。


すぐに捕まるのは目に見えている。


しかも騎士達は私の姿を見てざわついている、彼らも魔導一族の事を知っているのだろう。






これ以上の視線を遮るようにローブのフードを深く被った。




「アザミ、貴女に害を加えたりはしません、僕が保証します」




その声に私が少しだけ視線をあげると、アレクは私の手をぎゅっと握る。


その手の温もりが少しだけ、私の心を落ち着かせてくれた。


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