25.雪辱を果たせ五十嵐戦(赤と青①編)


【東S-4倉庫前】



 ガンッ――!


 顔面に拳を入れられた相手がガクンと膝を折る。

 つんのめる体を受け流し、否、その腕を掴むと自分に向けて振り下ろしてくる角材の盾として使う。二重に痛みを喰らった相手は失神、白目を剥いて鼻血を流していた。なんともブサイク面、直視したヨウは心中でドン引きながらそいつの体を力の限り、向こうに投げ飛ばす。

 息をつく間もなく、横から拳が飛んでくる。危うくダメージを食らうところだったが、割り込むようなカタチでシズが掌で受け止めてくれたため、難を逃れた。

 軽く息を上げているシズは相手を薙ぎ払うように蹴りを入れた後、ヨウの背後に立ち、思わず本音を漏らす。


「想像以上に……持久戦だな。数が多過ぎる」


 ツーッとこめかみから流れ落ちる汗を手の甲で拭い、シズは右ナナメ後ろの鉄パイプを避けるために跳躍。倣ってヨウも同じ動作をする。


「まったくだ。合図送って随分経つってのにヤマトの奴、なあにしてんだッ、か!」


 一向に現れない本隊に苛立ちを募らせる。

 あの本隊の指揮官を任せているのに……まさかヤラれた? いやヤマト達が簡単にヤラれるとは到底思えない。考えられるのはヤマトの突拍子もない作戦変更。ヤマトはより効率的な作戦を見出すと、相談無しに変更する悪い癖があるのだ。

 喧嘩に熱中すればするほど深慮になるヤマト。今の作戦よりもっと好都合なやり方を見つけたとしたら、一向に姿を現さない本隊の辻褄も合う。


「だったら許さねぇ。俺達の頑張りがパァとかどんなお笑い種だ」


 舌を鳴らすヨウは感情のまま立ち阻む敵の股間を蹴り上げた。


 なんてえぐい攻撃を、シズは敵に対し些少ながらも同情の念を向けてやる。相手は完全な八つ当たり対象だ。シズは感情のまま拳を振るうリーダーに肩を竦めた。

 しかし、どちらにせよ、このままではこっちの不利。本隊が現れてくれないと此方のスタミナが持たない。時間の問題だ。まあ、自分達はともかくヤマトの仲間が斬り込み隊に身を置いている。助けに来ないということはないだろう。喧嘩ではなく死闘と化している戦場でシズは、早く本隊が来てくれることを願いながら素早くしゃがみ、相手の振るってくる鉄パイプを避ける。

 その際、ズキッと体に痛みが走った。そういえば自分達はまだ怪我が完治してないんだっけ。嗚呼、不利に不利が上塗りではないか。


(ヤマト、早くしろ……でないと持たないぞ……自分達の体力に、それから)


 「うっぜぇんだよ!」鼓膜が裂けそうな怒鳴り声に溜息をついてしまう。

 このままではリーダーの堪忍袋も持たない。ヨウの堪忍袋の短さと脆さを知っているが故に、シズは現状に匙を投げたくなった。


 さて、そのシズの溜息の元凶の男は感情を沸騰させている真っ最中だった。

 本隊の姿は見えない。敵数は多い。五十嵐は目前なのに、奴のいる倉庫と距離がある。些少の距離が何百メートルも先の道のりに見える。怒りは沸点に達しそうだ。早く五十嵐をこの手で……グッと感情を押し殺し、冷静を保つよう努める。


(熱くなるのは俺の悪い癖だ。散々仲間に指摘されたじゃねえか)


 また周りが見えなくなるところだった。何よりも自分に必要なのは冷静な判断。何に今、集中し信用を置かなければいけないか、よく心に留めておかなければ。

 確かにヤマトには相談無しに作戦を変更する悪い癖がある。それはそれで勝利のために行動していること。もし仮にそのような行動を起こしても、きっとヤマトとその仲間は自分達の前に現してくれる筈だ。

 癪だが今は真っ直ぐ信じよう、向こうの指揮官を。向こうの長けた判断力と冷静な洞察力を。




 ところかわって東S-3倉庫裏。

 東S-4倉庫からより近い倉庫の裏に潜んでいる指揮官不在の本隊は今しばらく待機中である。

 何故か? 上記のとおり、指揮官が不在だからである。勝手な行動もできるにはできる。が、したら最後、行動後のことが追々面倒事と化すため本隊はおとなしく待機しているわけだ。後からやって来た協定チームと共に。


 嗚呼、何処からともなく聞こえてくる乱闘の声や音、ぶつかり合っているであろう闘志。

 早く喧嘩に加担したいというのに、オアズケ状態なんて酷だ。仲間を助けたい一理、暴れたい回りたい大多数を占めているワタルとアキラは揃って溜息をついているところだった。ボーっとバイクのハンドルに凭れ、力なく肘をつくアキラは手持ち無沙汰ゆえ、バイクの後ろに視線を投げる。

 そこには勝手に自分のバイクに腰掛けて背中に寄りかかり、だれているワタル。仕方がなしにキャツを相手にすることにした。


「重いぞい。誰の許可を得てワシの背中を借り取るんじゃい」


 気だるにクエッションしたせいなのか、向こうも同じ心情なのか、「僕ちんの許可っぴ」気だるなアンサーが返って来た。

 「そーけぇそーけぇ」そりゃいい度胸だとアキラは気だるのまま答え、取り敢えず重いから寄り掛かるなと注意。背中くらい良いじゃないかとワタルは欠伸を噛み締め、ドケチな男だと悪態。ややカチンときたアキラは「もう休憩かえ?」体力が衰えたんじゃないかと指摘。

 するとワタルの方がカチンときたため、両者視線を合わせて軽く、それこそ線香花火ほど淡く、しかし非常に激しく視線を交じらせる。


「暇はニンゲンを駄目にするよんさま。ちょーっち暇ならお相手願えないカナカナカナ? アーキラちゃーん」


「願ったりなことじゃーい。喜んでお相手するぞい、ワータル」


 ニヤニタァっと二人は口角をつり上げ、刹那、バイクから飛び降りて対峙。

 ウォーミングアップがてらにキャツの顔面を殴り飛ばしてやる! と、思っていたのだが、傍観者に回っていたキヨタがストーップとばかりに二人の間に割って入った。


「なあにしているんっスか、今は手を組んでる者同士っスよ! ちゃーんと仲良くしないとリーダー達に怒られるっス!」


「んもぉ、キヨタちゃーんのイケず。大体“これ”がいなくなっても支障でないから大丈夫だってんこもり!」


 “これ”呼ばわりされ、アキラは極上の笑みを浮かべた。心情は「貴様、人様を見下すなんざ何様だ?」である。


「そっくりそのまま返すぞい。さーっきまで“ジジイ”みたいに休息を取っとったくせにのう」


 “ジジイ”呼ばわりに、ワタルは笑みを浮かべたまま両手指の関節を鳴らした。心情は「今なんっつった? あ゛ーん?」である。


 バチバチと火花を散らす二人に呆れ返りながら、「まあまあ」キヨタは仲裁を買って出る。

 ここで喧嘩をしたって後々やって来るであろう指揮官にどやされるだけだ。仲良しこよしをしておくのが得策だと中坊は諭す。

 「生意気じゃいお前。まだ中坊のくせに」うぃーっとキヨタの耳を引っ張るアキラ。そうだとばかりにワタルも耳を引っ張り、「アイタタタ!」キヨタはこういう時だけ仲良くなるなんて卑怯だとかぶりを振った。

 どうにか抓り地獄から解放されたキヨタは元親友同士だったという不良二人を交互に指差し、グッと握り拳を作った。


「とにかく喧嘩は駄目っス! 日賀野とケイさんが来るまで、此処でおとなしく待機するっス!」


「やけに気合入っているねぇ、キヨタちゃん」


「そりゃそうっスよォオオオ! 大尊敬しているブラザーが、果敢にもトラウマ不良を乗せて闘っているんっスからぁあああ! 俺っち、ケイさんのためにも本隊の秩序は守りますっスよ。ケイさんは俺っちに言ってくれました。『お前、俺の元気の素だよ』って」


 超爽やかな笑顔で、キラッと歯を煌かせながら自分にお褒めのお言葉を掛けてくれた兄貴(※あくまでキヨタビジョン)。

 『お前、俺の元気の素だよ』ということは、少しならず兄分に期待されているわけで? その期待に応えない自分じゃない。今、任された仕事をしっかりこなす。それは兄分の期待に応えることにもなる。

 親友のモトにも教えて貰った。兄分の期待を応えてこそのブラザーだと。

 モトは日に日にヨウの弟分として、時に嫌な役も買って逞しく立派になっている。親友の努力を目の当たりにしている自分も負けていられないのだ!


「狙うはケイさんの舎弟! 負けませんよ。舎兄のヨウさんにも、五木さんにも、山田にも、それからモトにも! ライバルはいっぱいいるっス。頑張らないと。ケイさんのように立派で逞しい、男前な心意気を持つ不良になるんっス! 舎弟の座ゲットするんだぜ!」


 目を爛々と輝かせるキヨタは黒に染めた髪を夜風に靡かせ決意を改め、鼻息を荒くする。

 「あ、そうだ」暇だというのならば兄貴の素晴らしい武勇伝でも聞くかとキヨタは提案を出す。皆も円満になるだろうし、自分も兄分を自慢できる。我ながらナイスグッドアイデアだと手を叩く。出逢い話からバッチシ語れると二人に振り返ると、いつの間にかそこには人はおらず。しれっと各々バイクに戻っていた。


「なんっすかそれー!」


 キヨタからしてみれば心外な態度だが、二人にとっては冗談ではない。武勇伝を聞くくらいならば、手持ち無沙汰の駄目人間になっていた方がマシだ。

 どっかりとバイクに座るワタルは一服しようと、ブレザーのポケットから煙草を取り出す。

 しかし中身は空っぽ。どうやら補充を忘れたようだ。「最悪」一服する楽しみさえないのか、嘆きたくなったその瞬間、顔面に向かって物が投げられた。間一髪のところでキャッチしたワタルは正体を確認。マイルドセブンと銘柄の入った箱、自分のお気に入りの煙草である。そしてこれを愛煙しているのは自分の知る限り、一人しかいない。

 煙草を吸うヨウや響子はマルボロだし、向こうチームで喫煙者といえば……ヤマトやケン。ケンは知らないが、ヤマトは確かセブンスターだった筈。「くれるのん?」明日、雨でも降るんじゃないかと一笑してやれば、向こうも皮肉ったように一笑してくる。


「一本百万円じゃい」


「駄菓子屋の親父的ノリやめてよねんころり。ウザーイ!」


「お前にだけは言われたくないぞい。仕方が無いから、火」


 煙草を一本やるから火を寄越せ、と相手は条件を突きつけてきた。

 ライターの火種の点きが悪いらしい。真偽はともかく、悪い条件ではないため乗ってやることにした。煙草に火を点けた後、先にライター、次いで煙草の箱を投げ渡し、二人で一服。距離は置いているが久々に揃って煙草を一服しているな、とワタルは思った。

 ふーっと紫煙を吐き、神妙な面持ちで煙草を味わっていると、「久々じゃのう」アキラが話を切り出してきた。


「こうして二人で喫煙する。前はよくやってた」


 決してそれは皮肉ではなく、懐古の念からの感想。

 間を置いてワタルは相槌を打った。「一緒に喧嘩も久しいよね」赤く発光している煙草の先端を見つめ、ワタルは言葉を重ねる。


「対峙という意味で喧嘩ばっかしているんじゃがな」


 珍しくも失笑を零すアキラに、それもそうだワタルは苦笑で返した。

 中学時代では、考えられない関係を自分達は築き上げている。あの頃の自分達では、本当に信じられない現実を今、この瞬間に過ごしている。


 別に今の仲間達が不服不満と言うわけではないが、改めて小中時代一緒につるんでいた親友が隣にいないという現実が時々不思議でならなかったりする。

 分裂事件を契機に、どちらにつくかで大喧嘩した自分達なのだが……はて、そういえば自分達はどうしてここまで大喧嘩したのだっけ。元凶は分裂事件でご尤も、なのだが大喧嘩した理由はもっと別にあったような。そう、自分達は今まで何でも気が合い、大抵同じ意見を口にする仲だった。

 だから別々の選択肢をすると思わず、大喧嘩の末に互いに片意地を張って今に至る。


「なーんで“大”喧嘩したんだっけ?」


 ワタルは素朴な質問を相手にぶつけてみる。鼻で笑われるは承知の上だった。


「くだらん理由じゃったような」


 アキラは笑うどころか、首を捻って何だったっけと過去を振り返る。

 忘れてしまうほど至極くだらないものなのだろう。どんなに記憶のページを捲っても、そこだけ白紙状態である。多分、思い出したら思い出したで、「なんだ。くだらないものだ」と笑ってしまうに違いない。

 きっと“大”喧嘩する原因なんて極々小さいものだったのだ。


 スーッと溶ける紫煙を見つめつつ、灰を落として、ワタルとアキラは揃ってマイルドセブンを味わう。

 互いに何を思い、喫煙しているか分からないが、大体自分と同じことなのだろう。腐れ縁だ。対峙する関係になっても分かるものは分かる。


「少しだけ、惜しい気がするのう。この時間」


 それはアキラの嘘偽りない本音に違いない。

 半月を仰いでいたワタルは、皮肉を込めて笑うところだろうかと脳裏を掠めたが、結局は別の表情と気持ちを相手に向けてしまう。何故なら、不本意ながらも自分も同意見なのだから。


「そうだねん。惜しい気がする」


 吐露、そして微苦笑を零し、「本当に惜しいっぴ」ワタルは半分ほど吸っていた煙草を地に落とした。

 くだらない雑談も此処までのようだ。聞こえてくるバイクのエンジン音とチャリのベルに各々顔を上げる。そこには合流したであろう新たな協定チームの仲間と指揮官。やっとおいでなすったとアキラは文句を垂れ、ワタルは相槌を打ち、チャリに駆け寄ったキヨタは「えええ……」と遺憾の声を上げた。


「てっきりケイさんが登場してくれると思ったのに……なんだ。ヤマトさんにモトか」


 がっかりだとキヨタは肩を落とす。

 折角本隊の秩序を守っていたことを報告し、ちょいと男を見せた武勇伝を語ろうと思っていたのに。現れた親友にキヨタは二度溜息をついた。モトはといえば、キヨタに向かって引き攣り笑い。


「お前……オトモダチに随分な言い草じゃねーのソレ? オレ、ヤマトさんを乗せて必死に此処まで来たんだけど?」


「そうは言ってもさぁ。例えばモトがさぁー、ヨウさんが現れると思って期待をして待っていたら、別人がやって来ました。なら、どう思う?」


 途端にモトはキリリッと表情を真顔にした。


「そりゃもうガッカリ度パない。『いや、お前お呼びじゃねえし!』になる! ヨウさんはオレの大尊敬している兄分なのに……現れた奴が別の奴って!」


「俺っちもそれだってぇえええ! ちょ、なんでこの人を降ろして、ケイさんを乗せてこなかったんだよぉ。向こうにヨウさんいるんだし、この人いなくてもッ、アイッデー!」


 ゴンッ、ゴンッ!

 キヨタとモトの頭に容赦ない拳骨が落ち、「痛ぇ」「なんでオレまで」中坊組は揃って頭を押さえる。

 勿論制裁を下したのは本隊の指揮官。無駄口叩くなと鼻を鳴らし、チャリの後ろから降りると代わりにキヨタが乗るよう指示。自分はアキラのバイクに乗ると言うのだ。早足で行動するヤマトは、移動中も協定チームや仲間にすぐ発進できるよう体勢を整えるよう声音を張った。険しい表情を崩さず、「グズグズすンな」時間は押していると催促してくる。


 一刻も早く『挟み撃ち』作戦を開始したいようだ。やや焦っているように見えなくもない。

 同じチームのアキラは懸念を抱き、指示しているヤマトの肩に手を置く。その手を流し目にするヤマトは、「安心しろ」冷静は欠かしてないとシニカルに笑みを浮かべた。

 アキラは嘘だと一目で見抜く。目を細め、「帆奈美のことか……」言葉を掛けるが相手はそれ以上、こちらの話に耳を傾けてくれなさそうだ。

 これは帆奈美のことで何か好からぬことを聞いたに違いない。大抵、ヤマトが焦りを見せる時は彼女に関することだ。あまり表には出さないが、彼は彼女のことをとても大切にし、居場所を提供している。彼女を想い過ぎる面は今も中学時代も変わらない。そして彼女に対して何も言わないところも。


 キザで不器用な男だと半分呆れ、半分憂慮を抱きながら、アキラはバイクに乗った。

 ヤマトもまたアキラのバイクに乗り、こちらの指示に注目しろという意味合いを込めて指笛。早口で今からの作戦を伝える。


「これから荒川達と合流する。戦力の配置も大半が分かったしな。まず作戦の形式は挟み撃ち。荒川達が攻めたであろう正面を避けて、反対側から攻め込む。S-4倉庫の出入り口は貫通しているからな。裏から回り、S-4倉庫を突き抜けて合流することも可能だ。いいか、合流する際は躊躇の一切を捨てろ。この作戦ほど勢いが重要視される作戦はねぇ。バイクもしくはチャリで一気に雪崩れ込むぞ。

 五十嵐は戦力の大部分を自分のところに寄せている。大きな戦力ほど隙がある。そこを突くためにも、勢いとスピードは落とすな。最後にバイク組、俺の指笛が聞こえたらホーンを鳴らせ。荒川達への合図、向こうへの怯みに使えるからな。戦闘は俺達がする。いいか、遅れを取るな」


 そこまで説明を終えたヤマトは一呼吸。刹那、夜空一杯に広がる声音で、「行くぞ!」片手を挙げた。

 すると一斉にモーター音が辺りに響き、バイク達が発進する。誰よりも先にバイクを発進させたアキラは、「裏から回るんじゃな?」再三再四確認。頷くヤマトは海の面ではなく、倉庫が連なっている物陰を通って行くと答えた。

 了解だとハンドルを切るアキラは速度を上げて、周囲に敵の姿がいないかどうか見張ってくれるようヤマトに頼む。承知はするリーダーだが、多分無意味だと彼は言葉を重ねた。


「さっきも言ったが戦力の大部分は親玉の下だ。協定達があらかた向こうの協定を片付けてくれているしな。見張りっつー見張りはいねぇだろ」


「懸念しているのかのう? ワシ等のことを」


「というより、どんな狡い手でやってくるかってことに怯えてるんだろうぜ。これで負けたら面子も立たないだろうしな。まあ、立たないようにしてやるけど」


 ニッと笑うヤマトはアキラの右肩を掴み、「ぶっ飛ばしてやる」二度と舐めた口をきけないように叩きのめす、とギッリギリ握り締めた。

 どうでもいいが、自分はとばっちりではないだろうか。肩がすこぶる痛いのだが。アキラは軽く溜息をつき、真っ向から吹く風を頬で感じる。何事も無いといいのだが……何故だか胸騒ぎがする。


「ヤーマト。帆奈美にゾッコンは分かるんじゃが、あいつのことで無茶するんじゃないぞい。お前はいーっつも帆奈美のことになると熱くなるからのう」


「……別に。メンドクセェ女のことなんざ」


「はぁ。こういう時だけなーんで誤魔化そうとするんじゃい。中学から片思いをしていたくせに。お前はいつもそうじゃい。ヨウと帆奈美の関係を見守ったり、わざわざ支える側に回ったり、いつも自分が損する。帆奈美を抱くステップまで踏んでいるのに、なーしてお前は……そうなんかのう。真っ直ぐ気持ちを伝えれば良いのに、屈折ばーっかじゃいお前の気持ちは。苛々するぞい」


「フン、るっせぇよ。勝手にしとけ」


 これだもんな、この男。

 損ばかり選択する理由がイマイチ分からない。否、分かるがそれは結局自分のエゴであり、ある種我が儘だとアキラは思っている。自ら貧乏くじを引くような我が儘ばかりだ、本当に。

 ヤマトのことだ。どうせ相手を困らせたくない、泣かせたくないが念頭にあるのだろう。惚れた弱味とでもいうべきなのか、なんというべきなのか。直球に気持ちを伝えられない損な性格をしているのだ、自分のダチは。 

 いつだって変化球なダチは随分と直球な性格を持つ向こうのリーダーに羨望を抱いていたようだが……おっと、そろそろ喧嘩と作戦に集中しなければいけないようだ。


 等間隔に並んでいるコンテナの街を通り抜けた先に見える目的地。

 ぺろっとアキラは口角を舐め、速度を上げるためにアクセルを回す。向こう入り口と貫通している裏口は自分達を待ち構えているように、大きな口を開けて待っていた。「ん?」アキラは裏口に数人、五十嵐の仲間らしき不良らしきニンゲンを発見する。

 このまま突っ込めばキャツ等と激突する可能性も「アキラ、進め」


「奴等が避けてくれるだろ。合図も送ってやるんだしな。速度は落とすな」


 呆気に取られ思わず目を点、次いでアキラは大笑いした。

 言うと思った。さすがは我等がリーダー。言っている事がめちゃくちゃ過ぎる。人を轢いてしまえばどうなるか分かっているだろうに。まあ、事故なんてヘマは絶対に起こさないが。

 アキラは命じられるがまま速度を落とさず、ヤマトは頃合を見計らって右指で輪を作り、それを口に銜えると甲高く音を鳴らした。合図にまずはアキラがバイクのホーンを、次に後ろから追っているワタルが、協定達が次々にバイクのホーンを鳴らし始める。


 エンジンとホーンの音、それにバイクのライトに敵は自分達の存在に気付いたよう。しかし加速している機械を止められる筈も無い。

 敵達は蟻の子のように散り、立ち塞いでいた出入り口を明け渡してくれる。よってヤマト達本隊は難なく倉庫に突入する事が出来た。その間もホーンは鳴らし続ける。少しでも向こうに本隊の存在を知らせるために。



 ◇



 その時、ヨウは炸裂する鉄パイプの物騒な攻撃を避けているところだった。


 ブン―――ッ!

 振り下ろされる鉄パイプを避けた刹那、待ち望んでいたバイクのホーンが聞こえ、「やーっとおいでなすった!」思わず喜色を表情に滲ませる。音に相手が何事だと怯んだ隙を見て、拳で顎を突くと音の方へ視線を流す。


 倉庫の向こうから見えるのは無数のライトとバイク。

 なんと、ヤマトは本隊だけでなく協定も率いてきたようだ。想像以上の援軍に綻んでいると、先頭を走ってきたアキラ・ヤマトペアが乱闘のど真ん中に侵入してきた。

 そしてバイクの速度が落ちていないにも関わらず、「なッ、馬鹿ヤマト!」アキラの制止も聞かず、本隊の指揮官は勢いよくバイクから飛び降りた。一歩間違えれば大怪我を負う行為もなんのその。半月の光に照らされながら綺麗に着地し、ふわっと青メッシュの入った髪を夜風に靡かせる。


「うーっわ。なんて登場の仕方。キザな奴め」


 ヨウは開口一番に悪態をつく。

 「るせぇよ」左手を腰に当て、右手で横から飛んでくる敵の拳を受け止めるヤマトは澄まし顔で鼻を鳴らした。

 ケッ、ますますキザで妙に腹が立つ。作戦が予定通り決行されたのは嬉々であるが、それにしてもあの態度。苛立たしく思うのは自分だけだろうか?

 キザキザキザと文句垂れるヨウだったが、「お前もだろ」ヤマトと同じ事をしたではないかとシズにツッコまれた。ご尤も、ヨウも身の危険を顧みず、バイクから飛び降りて綺麗に着地とキザ紛いなことをし、シズ達を呆れさせた。


 ツッコミを入れられ途端にヨウは勿論、ヤマトも表情を引き攣らせ、暫し沈黙。そして「パクるな」ヤマトが盛大にガンを飛ばしてきた。

 いやいや、完全にパクりと称されるべき行為をしたのはヤマトではないか。自分が言うべき台詞だ、それ。

 だがしかし同じ事をしたという現実がヤマトには受け入れがたいのか、能無し、パクることしか能がないのかと理不尽な言い掛かりをつける。そりゃこっちの台詞だとヨウは青筋を立て、相手に大反論。


「だいたい来るの遅ぇんだよ! 手間取り過ぎだ!」


「あ゛? それを言うなら貴様等だって同じだろうが! 合図が遅ぇんだよ! 忘れていたんじゃねえだろうな!」


 うぐっ……ヨウは一瞬間を置く。

 完全に忘れていたわけではないが、一時的に忘れていたことは事実である。その証拠に何処からともなく斬り込み隊のキツイ視線がグサリグサリ。しかし視線もなんのその。


「……お、俺が忘れる筈ねぇだろ」


 馬鹿じゃないかと悪口(あっこう)ついた。盛大についていみた。が、直球な性格は嘘をつけないらしい。誰が見てもヨウの反論には違和感があった。よってヤマトのこめかみに青筋が立ったのは言うまでもない。


「はぁああ?! 貴様っ、馬鹿とは思っていたが、まさか本当に忘れていたとはッ! 救いようの無い馬鹿だ!」


 だからあんなに合図が遅かったのかと、ヤマトが詰め寄る。ヨウは目を泳がせ、やや控えめに言葉を返す。


「ちょ、ちょっとの間だけだって。ちゃんと最初の方は覚えていたし……大事なのは過程より結果だろ。合図はちゃーんと届いただろうが。結果オーライだ。オーライ」


 仕舞いには過程より結果だろうが、俺は悪くない、仕事を全うしたとヨウは開き直る始末。

 これによってヤマトはフルフルと握り拳を作って相手にガンを飛ばす。


「ンの、能天気野郎がっ! だから貴様はいつも俺を苛立たせるんだっ! 計画を狂わせやがる!」


「べーつに計画を狂わせたわけじゃねえし? 腹立つのは単にカルシウム不足なんじゃねえの? あーあ、短気損気短気、超短気。結果オーライだからいいじゃねーかよ。ヤダヤダ、短気損気短気な指揮官さまは」


 肩を竦める赤メッシュ不良に、「貴様はいっぺん死んで来い。馬鹿は死なんと治らない、あ、死んでも治らないかもな」青メッシュ不良は盛大に皮肉を口にする。


 「ンだと? やンのかヤマト」ヨウは極上の笑みを浮かべ、「ンだよ。やってやってもいいが荒川」ヤマトは極悪の冷笑を顔に張り付かせる。

 二人の間には青い火花。喧嘩の火花を散らせる両リーダーに、傍で見ていた副リーダーのシズとススムは勘弁しろよと溜息。なんでこのタイミングで喧嘩するのだ。現状を見てから喧嘩をしてくれ。溜息をつかずにはられない。


「単細胞の能無し。覚悟いいな?」


「ッハ、俺をブッコロしゅんするのかよ?」


 バチッ、火花を散らす両リーダーを見た敵側さぞ思ったことだろう。チャンスだと。

 その証拠に二人に奇襲を仕掛けようとするが、睨みあっていた眼は瞬時に敵へ向けられ、拳を振るう。


「ま、決着は後日だ後日。此処で喧嘩を勃発させるほど落ちちゃねぇしな」


 パンパンッと手を叩くヨウは、振り下ろされる鉄パイプを見上げた。受け止めるまでもない。


「ッハ、周りは俺等を舐め腐ってやがるようだがな。チャンスってばかりのツラしやがって。何がチャンスか俺に教えて欲しいくらいだ」


 ヨウに向かって振り下ろされる鉄パイプを蹴り上げ、皮肉を含めた笑みを浮かべるヤマトは構えていた右の拳を相手に飛ばす。

 まったく仲が良いんだか悪いんだか、リーダーの様子にシズは苦笑を零しつつ、一方でススムの背後に迫っていた蹴りを自分の利き足で受け流してやる。向こうの副頭と視線がかち合い、互いに一笑を漏らした。仲の良し悪しは自分達にも当て嵌まるかもしれない。


 次から次に到着する仲間を見やり、一通りの口論も終えたところで、ヤマトは体を動かしながらヨウに尋ねる。五十嵐の行方を。

 踵を相手の頭に落とし、キャツは中だとヨウは倉庫に目を眇めた。親玉である五十嵐は不良達を此処に置いて中にいる。ノウノウと高みの見物をしているのかもしれない。悪知恵を絞って新たな戦法を組み立てているかもしれない。一刻も早く中に行きたいのだが、数が数だ。近付けぬ状況にある。

 ヨウの説明に、「中だな」ヤマトは不良の腹部に膝蹴りを飛ばして一目散に駆け出した。「アキラ! ススム!」援護要請を口にし、彼らしくない無鉄砲な行動を起こし始める。


「お、おい!」


 目を見開くヨウはお得意の戦法を組み立てなくても良いのかと声音を張って地を蹴り、ヤマトの後を追った。

 しかしヤマトの耳には届かないようだ。雑魚になど目もくれず、飛んでくる拳や凶器も避けるのみで極力足に集中しようと努めている。ごり押しで進もうとするヤマトに違和感を覚えているとチャリ組のモト・キヨタが遅れて到着、自分の姿を見つけモトは大声で伝えてきた。五十嵐の下に人質の片割れ、帆奈美がいると。


 合致した。

 だからヤマトはあんなに猪突猛進行為を――垣間見た彼の切迫する顔にヨウは軽く言葉を失ったが、一変して微苦笑。

 指笛を鳴らし、自分も援護要請を出す。挟み撃ち作戦により、向こうは新たな人手に混乱している。数人抜けても形勢がひっくり返るような事態にはならないだろう。どちらにせよ、五十嵐を仕留めなければ終わらないのだ。リーダーとして、チームのため仲間のため自分のため一旗挙げて来なければ。ヤマトだけに好い格好させるわけにはいかない。


 ヨウの援護要請にチャリから飛び降りたキヨタが真っ先に駆けて来た。

 彼は持ち前の手腕を生かすため、ヨウのために道を作ろうと脇をすり抜け、片っ端から敵を相手取る。近くにいたシズがヨウと肩を並べ、「真っ直ぐ進め」五十嵐までの道を作ってやると宣言。


「お前は一直線に走れば良い」


 彼は小さく目尻を下げてくる。

 頼もしい発言に頷き、真横から飛んでくる鉄パイプの攻撃を避けるため身を低くする。


「ヨウさんに何するんだ!」


 死角から飛んできそうになる鉄パイプを死守するため、モトが敵にチャリごと突っ込んだ。

 なんとも無茶振りな攻撃ではあるが、「勝ってきて下さい!」背後から飛んでくる声援にヨウは応えなければと加速した。前方を走るヤマトと同じように努めて足に集中し、仲間達の援護の下、倉庫の中に飛び込むことに成功する。視界の悪い一階フロアにも敵の姿あり。目算で見たところ、ざっと15人前後というところだろう。


 だがヨウは一切を仲間達に任せ、五十嵐のみ目で探すことにした。

 ハッと上層階を見上げ、軽く息を呑む。第六感が疼く。きっと五十嵐は上にいる。確証は無いが、六感がそう警鐘を鳴らしてならない。急いで上にあがらなければ……なにやら嫌な予感がしてならない。まさか帆奈美の身に、ああくそっ、考えれば考えるほどネガティブになる!

 「頼んだ!」ヨウは仲間達を置いて二階へと続く階段の入り口に向かう。ヤマトの六感も自分と同じ結論を出したのだろう。彼も階段の入り口に駆けていた。


 すると二階から団体様の影がチラホラ。非常事態に備え二階にも戦力を隠し置いていたのだろう。

 揃って舌を鳴らすヨウとヤマトだったが、間髪容れず二人の間に割って入り団体に突進する不良が視界に飛び込み、思わず驚愕。道を作ろうとしているのはワタルだった。自分達の後を追い、逸早く事態に気付いたのだろう。


「俺サマターイム!」


 主役になれるチャンスだと冗談をかまし、持参していた角材を大きく振り回し、相手の喉や鳩尾、股間を突きまくっている。えぐい攻撃極まりない。


「ヨウ、ヤマト。隙を見て階段を突破しろ! 俺サマが道を作ってやっから!」


 つまりはごり押しで階段を突き進めらしい。

 だがしかし、一人で団体を相手取るには幾らワタルであろうと無理がある。階段から下りてくる人数を見ても、一人では随分と悪戦苦闘しそうだ。

 こうなったらヤマトだけでも。五十嵐や帆奈美がいるであろう上に行かせるべきだとヨウは判断し口を開いた。同時に「あひゃひゃのひゃー!」ウザ口調でヨウとヤマトの間に割って入り、前に出る不良一匹。ワタルに加担するように鉄パイプを持ち、ブンッと振って相手を威嚇する。


「角材なんかよりタチが悪いぞい。お骨を折っても、アキラたんは知らないんだぞい。かっこハートマークかっこ閉じる」


「ンマー、アキラちゃーん鬼畜」


「前者はお褒めとして受け取っとくぞい」


 ウィンクするアキラにキモすと笑声を漏らし、ワタルは持っていた角材を握りなおして彼と団体に突っ込む。

 無理やり隙間を作り、敵達を蹴落とし、「進め!」階段の麓で構えているヨウとヤマトに一喝。あくまでお前等の相手は雑魚ではなく五十嵐だと声音を張り、二人は完治していない体を張って道作りに励んでくれた。

 彼等の努力を泡にするわけにもいかない。ヨウとヤマトはアイコンタクトを取り、小さく頷くと落ちてくる不良達を避けながら一段一段上にあがっていく。


 二階フロアに辿り着くと、そこにも獲物を待ち構えている団体様方。

 今まで二階で悠々と休息でも取っていたのだろうか。それなりに人数がいるのだが。

 それとも五十嵐が自分達を警戒し、予備軍を用意していたのか。どうやら見渡す限り、親玉は二階フロア入り口にはいなさそうだ。S-4倉庫は広い倉庫ではあるが、此処は二階建。一階にいないということは二階にいる筈。奥にいるのだろう。



「ヨウ、ヤマト、止まるな!」



 階段を上って来るシズが前へ進むよう促してくる。

 団体は自分達が相手にするから、お前等は一刻も早く五十嵐達を! 声音を張るシズはススムやワタル達と共に二階フロアの団体に突っ込んで行く。まったくもって頼もしい仲間達だとヨウは一笑し、ヤマトに行くぞと声掛けをする。


「って、あれ?」


 思わず間の抜けた声を出してしまう。自分の隣にいた筈のヤマトがいない……はて一体何処に。


「荒川! 何してやがる! さっさと来いノロマ!」


 大喝破が鼓膜を振動した。

 「はあ?!」ヨウは素っ頓狂な声を上げ、アリエネェと足を動かし始める。

 ヤマトは既に向こう前方を走っていたのだ。いつの間にあそこまで距離を置かれていたのか。


「ちょっと待ちやがれ!」


 声掛けくらいしろと悪態を付き、ヨウは急いでヤマトの後を追い駆けたのだった。






「あーらら。ヨウちゃーん、ヤマトちゃーんに置いていかれた」


 始終やり取りを横目で見ていたワタルは仲の良いことだと皮肉と一笑を零す。

 あの二人はいつだってそうだ。仲が悪い一方、漫才のような会話を交わして自分達を笑わせてくれる。二人は断固として否定するだろうが、ある種二人は最高のコンビと言える。


 ふと脇腹に痛みが走った。

 攻撃を受けたわけではないが、完治していない体が軋み、軽く悲鳴を上げたのだ。

 その隙を突かれ、相手に背後を取られる。こりゃやっべぇ、ワタルが空笑いを浮かべた刹那、向けられた拳が鉄パイプによって叩き落される。相手の苦痛帯びた悲鳴にも、「喜色を感じるゾイゾイ」背筋がゾックゾクすると口角を舐める某鬼畜不良。

 瞠目するワタルだったが、彼の台詞に悪趣味だと頬を崩す。


「ンモー、助けてなんてヒトコトでも言った? 僕ちん」


 すると彼は無邪気に、そしてあどけなく目で笑ってきた。


「ククッ。ワタル、情けないぞい。ワシに助けられるなんて。まあ、助ける理由をあえて挙げるなら? 今、ワシはお前と一緒に喧嘩しいてる、からかのう。それにお前を倒すのはワシと決まっておるしのう」


 ニッと笑うアキラに面食らっていたワタルだが、ニカッと笑い返し、揃って持っている凶器の先を相手に向ける。

 そう、アキラの言うとおり、今は元親友と一緒に喧嘩をしている。対峙ではなく、仲間という形で喧嘩をしているのである。今後どういう関係を築こうとも今は、この瞬間の関係を楽しむべきだ。


「久しいな。俺サマとお前でコンビを組むなんて。対峙していた方が時間的に短いっつーのに、久しくて笑えてくる」


「まったくじゃい。おっと、向こうでシズやススムも名コンビネーションを繰り広げているようじゃい。こりゃ負けるわけにはいかんのう。ワタル」


 なにせ、このコンビネーションでは誰にも負けたことないのだから!


 「俺サマと」「ワシが揃えば」「天下!」「無敵!」「つまり」「それは」 「「最強!」」


 ケラケラゲラゲラ笑って二人は持っていた凶器を放り投げる。

 あの頃の名コンビが揃ったのだ。凶器なんて不要ふよう。自分達自身が凶器的存在なのだから! 拳一つで団体様方を相手取っていやるぜベイベ。二人は最高にアクの強い、けれども何処か活き活きとした笑顔を浮かべたのだった。


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