12-3 エピローグ

 デスゲームから数週間後。

 現実世界に帰ってきた自分の妹に、児島秀人は違和感を覚えていた。


「おにいちゃ~ん」


 忙しい朝のことである。

 食卓で秀人は食パンをほおばっていた時、不意に後ろから抱き着かれた。隣に座る恋人である薫ではなく、妹の朱里に。


「な、なんだよ急に……」突然だったので秀人はむせる。「飯時にやめてくれよ」

「すみませ……ごめん、ごめん。ついからかいたくなって」


 ほほえましいやり取りではあった。産まれた時からたいがいのことは知っている両親は秀人同様、妙な感じがしていた。

 朱里が別人のような気がしていたのである。

 秀人と朱里の両親である秀雄は引っかかっていた。

 険しい顔をしていると、


「お父さん、どうしたの? なんか難しい顔をしているけど……」


 朱里に指摘され、はっとする秀雄。

 考えすぎるのは悪い癖だなと反省した後、口角を上げる秀雄。娘の笑顔を見て、心から朱里が帰ってきたことを喜ぶのであった。


(なんというか……なんだろう? 今の朱里、なんだか大倉に似ているなぁ……考えすぎだろうか?)


 隣でポテトサラダを食べている薫をじっと見る秀人。


「ひでくん、なに?」

「あぁ……うん、いやぁ、なんでもないよ」

「……ふふふ、へんなの」


 下がった眼鏡を直すと、秀人は視線をテレビにやる。

 テレビのテロップに、獄中で大倉こなみの父親である大倉敏和が獄中で自殺したことが表示されていた。


「あっ、死んだんだ……」


 秀雄のため息の音を聞いた後、秀人は朱里の方を向く。表情のない顔が、テレビのモニターを見つめていた。



END

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

サイコナイト2 ~シアワセノカタチ~ 吉田夢妙 @Yoshida_ank

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画