第14回小学館ライトノベル大賞
個人的おすすめ作品ベスト3
1位 現実でラブコメできないとだれが決めた?
2位 シュレディンガーの猫探し
3位 君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る
1位の「現実でラブコメできないとだれが決めた?」はガガガらしい新しいタイプの主人公のラブコメ。データと調査で自分の理想のラブコメを現実に作り上げようというとんでもない主人公。しかし、それはうまくいくこともあればいかないこともあり、そこにはラブコメらしいドラマも入ってきました。「弱キャラ友崎くん」や「千歳くんはラムネ瓶のなか」のネタも使っているので、二つの作品の読者ならクスリとするところもあるかもしれません。
2位の「シュレディンガーの猫探し」は珍しいタイプのミステリー小説。謎を解くのではなく、名探偵に謎を解かせないために謎を作るタイプのミステリー小説でした。かといって殺伐とした殺人事件の犯人側というわけでもなく、どちらかといえば探偵側に近いポジションです。作中ではヒロイン本人は「魔女」と言っていましたね。日常系ミステリーの新タイプでしょう。
3位の「君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る」は上の世界と下の世界がある世界観で、下の世界では死者がたむろっています。主人公はその死者。ヒロインは上の世界の住人です。ある日突然ヒロインが主人公のもとに落ちてくるといういわゆるオチモノにあたるのかな? ヒロインに一目惚れした主人公は周りのゾンビ化した死者からヒロインを守ろうとするのですが、ヒロインは死者である主人公を怖がって逃げてしまう。主人公はヒロインを守りながら上の世界へ無事送ることができるのか! そして主人公の恋の行方は!
その他の作品の感想
「サンタクロースを殺した。そして、キスをした。」:クリスマスをなくそうとする男女のお話。話が基本的に重い! いや、ガガガらしい重さの作品ではあります。ガガガ作品の重さが好きな人は気にいることでしょう。
「このぬくもりを君と呼ぶんだ」:人類が地下に住むようになった世界で、本物を探し続ける少女たちの物語。信じていたものが信じられなくなり、少女が最後に信じたものとは何なのか。それは読者のあなたが確かめてみましょう!
総評
ラブコメ、ミステリー、SFとジャンルとしてはバラエティ豊かでしたが、バトル要素の作品がなかったのは印象的ですね。広い意味で捉えるなら「君はヒト、僕は死者。世界はときどきひっくり返る」は戦うシーンがあるのですが、特殊能力を使って派手に戦うというものではありませんでした。過去のガガガはどうだったかなと思い返してみると、近年ではまず一作はバトルものが入っていましたし、他のラノベの賞としてもバトルものはまだまだ主流だと言えるでしょう。今回がたまたまだったのか、ガガガはバトルもの以外を重視しているのかは不明です。今後の傾向を見ていこう思います。
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