第11回小学館ライトノベル大賞

個人的おすすめ作品ベスト3


1位 ジャナ研の憂鬱な事件簿

2位 ひきこもり姫を歌わせたいっ!

3位 平浦ファミリズム


 1位の「ジャナ研の憂鬱な事件簿」は新聞部に所属する主人公がヒロインの周りで起きる様々な事件をその推理力で解決していくお話です。

 主人公は中学校時代に周りの人々の隠し事をジャーナリズムというものを盾にして暴きまくった過去があるようで、そのことを今は後悔しているようでした。そのため、できるだけ友人関係は広げないようにしていたのですが、そこに毎回のようにヒロインが主人公を事件に巻き込んでしまう。

 過去のこともあるので推理で他人の秘密を暴くようなことをしたくない主人公と、そんな状況に主人公を追い込むようなヒロインの相性はある意味抜群でした。

 ライトなミステリーがお好きな人にオススメです。


 2位の「ひきこもり姫を歌わせたいっ!」は音痴だが音楽へ熱意を注ぐ主人公と神の声を持つ引きこもりのヒロインのお話。

 音楽のお話なので、歌声などの描写が難しいところだったと思います。しかし、本作はその点を主人公の心情や周りの反応などでうまく表現していました。

 ストーリーもヒロインの恥ずかしがりやな性格を何とかしようとするところから、バンドのボーカルとして歌わせるまで、ヒロインの成長が見られてとても面白かったです。

 音楽や成長物語に興味がある人はぜひ!


 3位の「平浦ファミリズム」は一風変わった家族の一風変わった日常や非日常を描いた作品。

 凄腕のシステムエンジニアな主人公は無愛想で他人との関りを拒絶しているし、姉は戸籍上の性別は男だし、妹は引きこもりだし、父はフリーターだし……。

 それでもこんな人たちがいてもいいではないか、他人と違っていたらいけないのか、という主題は読み手に訴えかけてくる何かを感じました。

 ちょっとひねくれている日常系の小説を読みたい人にオススメ。




その他の作品の感想


「スクールジャック=ガンスモーク」:ロボットもの。学園がテロリストに占拠されるが、元軍人である主人公と凄腕のパイロットであるヒロインがそのテロリストに立ち向かうお話。雰囲気はなかなかダークな感じです。


「世界の終わりに問う賛歌」:こちらも雰囲気ダークな小説。主人公は何と拷問官。ところどころに拷問の描写が入るので苦手な人は苦手かも。

 ストーリーとしては莫大な魔力を保有しているヒロインの魔力を取り出すためにどうやって拷問をしようかと試行錯誤するところから始まります。そしてラストには……。

 拷問が大好きな人には一押しな作品……?




総評

 今回の受賞作の特徴としては主人公がちょっとひねくれている人が多かったことだと思います。小説なので特徴のある人物が主人公になるのは当然といえば当然なのですが、ガガガの受賞作はそれが顕著に表れているような気がしました。

 「世界の終わりに問う賛歌」に至ってはもうその職業までが普通のライトノベルではありえないものです。いや、私が知らないだけで実は過去にあったのかもしれませんが。

 個人的な感想では今回は戦争などの非日常系よりも学校などの日常系の小説の出来がいいと思いました。これがガガガの特徴であるのかどうかは要研究です。

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