終章
夕食を終えた頃には日も落ちて、外は暗くなっていた。
「食事も終わったことだし、お風呂に入ろうか」
灯りをつけてカーテンを閉め、振り向いて
ところどころ破れ始めた、青白い肌。
乱れたままの、艶のない黒髪。
伏し目がちで、白く濁った虚ろな目。
だらりと開いた、暗い紫色の唇。
私と
しかし、未だに残っている疑問がある。
そこに書かれていた「悠」という名前は、いったい誰の名前だったのだろうか。
*
翌朝、家の庭を掃除していると、視界の端になにか見慣れぬ物体を捉えた。
小石かなにかかとも思ったが、なんとなく気になって、近くまで歩いていく。
それは、胸から
私が鳥の死骸を覗き込んでいると、どこからか、
アゲハ蝶はしばらく周囲を舞うと、まるで鳥の血を吸うかのように、死骸の上にふわりととまった。
私はその異様な光景に目を疑い、しばらくまばたきを繰り返した。
そうして再び目を凝らすと、あるのは鳥の亡骸だけで、蝶の姿はどこにもなかった。
*
(鳥は地に墜ち、血に
蝶は、その血に
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