第46話 『地球探索』 その3

 それは、小さな森の奥にある『一軒家』なのでありました。


 『一軒家』というのは、このような『郊外地区』以外では、めったには見られないものです。


 『首都中央部』では、みな大体アパート暮らしが当たり前ですから。


 政府の首脳とか、大企業のオーナーとか、大スターとか、そういう方が家を持つ『スーパー郊外地区』があるのですが、そこに家を持てるのは、せいぜい200軒くらい。


 あとは、企業の幹部や官僚さんたちも、大方アパートに住むのが当たり前なのです。


 まあ、自分もそうな訳です。


 しかも、あのロクでなしと事実上の夫婦生活です。


 悪くはないですが。


 私には、あの、保護者アンドロイドなどとは比べ物にならない、りっぱな肉体というものがありますから。


 また、しっかりとした、快感システムも装備しています。


 まあ、それはともかくも、『今日は機嫌がよさそうだから・・・』という会長さんに連れられて、ここまでやってきたわけです。


 『ジープ』という、古代の、実に乗り心地のよくない車に乗って。


 大体この時代、『ガソリン』などというものを、正式に製造販売している会社などないのです。


 闇の供給流通ルートがあることはわかっていましたし、そうした方面のスパイもいるわけですが、なぜか、誰も調べに行ったあと、帰って来ません。


「ガソリンって、どうして手に入れるんですか?」


 私は、なにげなく質問してみました。


「そりゃああんた、知らないことだね。ガソリンは火が付きやすい。危ないよ。まあ、自分も、ある相手から買うだけでね、それ以上は聞かない約束になってる。」


「私は担当ではないからよく知りませんが、すっごくお高いとか。」


「そうさね。失礼ながら、あなたの給料では無理だね。10リットル買うのに50年はかかるだろう。」


「意味ないわね。ガソリン・カーになんか。」


「そうさ。普通はね。『道楽』を通り過ぎた『超道楽』だね。」


「ふうん・・・・・・・ですね。」

  

  。。。『まあ、それでも商売が成り立ってるんでしょう?』


 あきらかに、おかしな話しです。


 噂では、この地球上には、もうひとつのドーム都市がある。


 その場所は、宇宙から見ても、すぐには分からないが、南極のどこかにあって、視覚カモフラージュされている。


 そういう、いささか、あほらしい噂です。


 もし、実際に存在するとしても、私が探そうとしている『地下都市』とは、別のものだと考えています。


 まあ、それも、もしかしたら、一緒にわかるかもしれませんが。


 ちょと、そういう予感もするのです。



 そこで、この、小高い丘の上に立つ、怪しい建物です。


 見たことがない、五階建て位の木造建築物です。


 明らかに、違法なものですが、ここは、うっかり取り締まれない。


 戦争する積りなら別ですが。


 魔王の『城』、という感じでしょうか。


「すごいでしょう。これはね、古代に存在した、東洋の小さな国の『お城』の様式なんだそうですよ。そこは、今は、大部分水没しているがね。さて、ここからがやっかいなんですよ。車から降りて、歩いて『登城』しなければならないが、周囲から兵士たちが不意打ちをしてくるんです。そいつらを排除しながら、最後にはお城本体の中に入り込み、なおかつ、最上階の『天守』まで辿り着かなければならない。あなた、武器はお持ちですか?」


「まあ、携帯レーザー・ガンならば。殺傷力は、ほぼ、ないですが。」


「それでいい。さあ、行きましょう。」


 私たちは、『古代ジープ』を降りました。



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