第42話 『転換』 その3
副首相と社長一行は、地下の『星の館』に現れたのです。
しかし、どうやら、副首相様はここが初めてではないらしい。
「ふん。以前より、すっきりしたかな?」
「そうですか? まあ、確かに、ちょっとチャラチャラした装飾は取っ払いましたから。高級感の方を出したかったものですから。」
「高級感ねぇ。まあ、結構なことだ。首相は喜ぶことだろう。」
「まあ、珍しい。首相様を持ち上げるとは。」
「ははは。余裕と言うものだよ。当時は、ぎりぎりになっていた。」
「なるほど。どうぞ。例のお部屋を経由しないと、その先に行けませんから。」
『被保護者』が案内された、あの部屋の事でしょう。
そうして、今、その部屋には、完全に女性化した彼が待っていたのです。
私が言いますのもなんですが、大変に妖しい美しさに輝いておりました。
変身後に身につけた、あの下着姿のままの上に、透き通ったレースのガウンを纏っていました。
大変に興味深い場面です。
私は、詳細に観察を行い、そこをそのまま、地球に中継送信しておりました。
まさか、地球側が、あのような事態になっていたとは、さすがに考えてはおりませんでした。
明らかに、システム上の欠陥だったのです。
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これは、『保護者』も『被保護者』も、見てはいない光景である。
「君たちは、なんだね?」
長官はうめいた。
「あなたを、逮捕します。」
「誰の命令だね?」
「もちろん、首相閣下です。」
「ばかな。聞いてみる。待ちたまえ。」
「無駄です。首相閣下は、保護されました。」
「む。クーデターか?」
乱入した一団のリーダーらしき男が言った。
「そう言うなら、それでも結構です。」
「首謀者は? ふん・・・どうせ、あいつだろうがな。」
「連れて行け。ああ、ここにも中継が来ていたな。ぶざまなことだな。」
画面を見ながら乱入者のリーダーが罵った。
長官は、ただちに、どこかに連行された。
その時、本部にいたエージェントやスタッフたちも、みな捕獲された。
政府の職員同士でもあり、銃撃戦などには、ならなかったのだ。
しかし、ひとりだけ、脱出に成功した『スパイ』が、いたのだった。
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