最終回 エピローグ(終)

 時刻は夜九時を少し過ぎていた。夜空は星が輝き月が出ていた。

 一台の大型スクーターが、山の坂道をアクセルふかして登っていた。行き先は、この坂の終着点。切り開かれた頂である。

 黒いフルフェイスのヘルメットに狼マークのスカジャン姿のジンが、ハンドルを握っている。後部席にはお揃いのヘルメットにピンクの色違いのスカジャン姿の玄武が、ギュッと腰に手を回して豊満なおっぱいを押し付けてくる。


 あれから一週間がたった。アクゥは犬飼巧として娘のマジンダを連れて、祖母の元へ戻った。

「あらあら孫が二人出来たみたいだねぇ」と、失踪した事も少女を連れてきた事も何も聞かずに家に招き入れたと聞き、やっと戦いが終わったと実感できた。

 それを見届けた暁姉妹は昨日、本部からの命令で別れ惜しむ間もなく宇宙へと飛び立った。

 そして今夜玄武が帰る。


 坂道がなだらかになり、目的地にたどり着くとスクーターを駐車する。

「覚えてるかジン、この場所を」

「勿論だ。ここでお前に潰されたからな」

 周辺の木々が折れた状態で立ち入り禁止の看板が設置されている。

「すまなかった」

「謝るな。冗談だよ」

「知ってる」

 カッカッカッカと玄武は笑う。

「あれから色んな事あったの。随分と刺激的だったゾ」

 並んで柵から景色を眺める。ここからジン達が住む街並みの光が見えた。

「いい景色だな」

「我らが守った世界だ」

「ありがとな玄武、お前らがいなければこの景色も見れなかった」

「お礼を言うのは、こっちだ。お主に出会えた事を誇りに思うぞ」

 見つめ合う二人。

「ところでジン、お主本命は誰だ」

「ぬっ」

 考えてもいなかった。流されるままに流されて意識した事もなかった。

「んっどしたの?」

 玄武は意地悪く笑い肘で突っつく。

「み、みんな……じゃ駄目」

 たらりたらりと汗が垂れ、視線が泳ぐ。

「ダメだゾ」


「なんだ痴話喧嘩か、俺達もまぜてくれや」

 酒の臭い漂わせ、ツナギを着た二人組みが近づいてくる。


「ったく最後の最後まで」

「湿っぽくなくていいではないか。我らにふさわしいラストだ」

「ハッ違いねぇ! 行くぜ相棒!」

「おうよ!」

 二人は笑顔で拳を振り上げた。


* 

 西暦二千××年 

 世界は何の前触れも無く終末を迎えた。空から別宇宙の蛇神とその眷属達が堕ちてきたのだ。

『この世界に死の祝福を。永遠に安らぎを与えましょう』

 人類は神と戦う術もなく、滅びの道を歩もうとしていた。


『贄贄贄贄』 

 蜘蛛に似た外皮骨格の十本足の異形なる獣が、廃墟となった地上を歩いていた。

 目的は命有るもの全てを死に導く事。

 ぎゅるるるる。

 空腹で腹が鳴る音が聞こえた。

『いる。贄が』

 獣はキョロキョロと街を見渡す。

 崩れた建物の物陰から、風に揺れる髪の毛が見えた。

「やばい見つかった」

 ツインテールの少女が大急ぎで、そこから逃げ出すの捉えた。

『逃がさない』

 尻を持ち上げ、獲物に狙いを定めると糸を吐き出す。

「きゃあぁああああああああ」

 死を覚悟した少女の身体が突如、宙を舞う。

「あれっ?」

「もう大丈夫だ」

 気づくと赤髪の少年の腕の中に、彼女はいた。


『貴様何者だ……人かそれとも……』


「さてね。この世界も俺様、暁ミロクが救ってやるぜ」

 ニイイッと口角をつり上げて挑発的に笑う。

 その隙に獲物の少女は逃げてしまった。

「身体は黒鋼(はがね)で出来ている」

 ピシッピシッと肉体が機械に変わっていく。


 ピピピピピ。アラームの音が鳴った。


「あっ……」

 ジンは夢の世界から連れ戻される。

「……だよなぁ……寝る前にゲームやったからか……」

 頭を掻きながら半目で鳴り響く携帯を探す。

「んっ」

 下半身がこんもりと、盛り上がっている。

 スゥッスゥッスゥッと、規則正しい呼吸音がダイレクトに二つの玉に当たり、生暖かい。

「ま、まさか」

 布団をめくると玄武がトランクスを脱がした態勢で眠っていた。

「な、なんですと!」

「夜這いの途中で寝てしまったか」

 ぷるんぷるんと、目の前で揺れ動くおっぱいは、早朝から刺激が強すぎる。

「ほぉーほほぉふふふふ」

 玄武の視線が一点に集中していた。

「なんで? どうして?」

「んっゴセイオンチームは地球担当になったんだ。我は一足先にそれを伝えに来たのだ」

 ツッッと指先が先端をはじく。

「うっ……」

 ジンは本能に赴くままに、玄武に手を伸ばす。

「ジンちゃーん迎えに来ちゃった……ぬはぁっ!」

「ほ、ほむら……」

「おはようほむら元気か?」

 ほむらの瞳には、玄武を押し倒すジンが映っている。

「元気なのはジンちゃんのジンちゃんだよ!」

「おめがっ」


「行くよもぅ」

 ぷりぷりとほむらは先に歩きだす。

「待てって」

 ジンは慌てて靴を履く。

「いってらっしゃーい」

 可憐と玄武は楽しそうに手を振る。

「いってきます」

 ジンは立ち止まると満面の笑みで、家族に挨拶した。


終わり

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性獣合体ゴセイオン 空から堕ちてきたロボ娘に潰された俺が気づけばハーレム作ってた   キサガキ @kisagaki

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