第17話 Renatus(2)

 目を覚ますとそこは自室であった。夢を見ていたのか。いや違う。あれは現実の出来事だ。

 起き上がると服を着ておらず全裸であった。

 机の上にはお湯の張った洗面器とよく搾ったタオルが置かれ、白虎が顔を伏せて寝息をたてている。

 脳裏に浮かぶは、爆発する男の姿。

 自分の体内にも、ナノマシンがある。もしそれが暴走したら、あの男の様になるのか。自分も脳漿を撒き散らせて、惨めにこの世から消えていくのか。

 嫌だ。そんなの嫌だ。

 散々吐いたのに、口から酸っぱいものが上ってくる。


 ––––怖い怖い怖い。嫌だ死ぬのは嫌だ––––


 ガタガタガタガタガタと体が恐怖で震え、歯がガチガチと鳴る。

 涙目で自分の体を強く抱きしめると、布団にうずくまる。

 助けてくれ助けてくれ助けてくれ。

 母を呼び。兄を呼んだ。

 誰でもいい。俺を守って。


「ジン!」

 異変を感じとったのか、玄武が慌てて部屋に入ってきた。

「玄武……助けてくれ……」

 歪む。認識する世界が崩れていく。

 目の前にいる機械仕掛けの人形に、プライドも無くすがりつく。

「嫌だ。死にたくない。死にたくないよ……」

 ピシッピシッピシッ。皮膚を突き破り、機械で出来た触手が蠢き出す。

「心を強くもて。大丈夫だ。我はお主のもの。身も心も全てをジンに捧げている。決して暴走などするものか」

 玄武が抱きしめてくる。ドクンドクンドクンと心臓の音が聞こえてきた。

 チュッと額に唇の感触。

 優しい笑みを浮かべ、髪をなでてくる。

「そうだぞジン殿。姉様だけではない。私達全員、君には恩義がある。嫌がる事なんて絶対しない」

 目を覚ました白虎が立ち上がり、ぷるるんとおっぱいを揺り動かして近づいてくる。


「ジン……好きだよ」

 玄武は潤んだ瞳で、今度は強く抱きしめてくる。

「好き。好き。好き。お主が大好きだ……好きな人に嫌われる様な事する馬鹿が、どこにいる」

 上目使いで、少女姿の玄武は甘えてくる。

「私もだ。君に命を救われた。ジン殿、君の為ならどんなハードなプレイでも喜んで受け入れよう」

 白虎はいつもの調子でおどけると、背中に抱きつき、おっぱいを押し付けた。

「どうだ。君に揉まれてこんなにおっきくなった……大人姿の姉さんにはサイズは敵わないがな。柔らかさには、自信がある」

 そう言って興奮したのだろう、固くなった先端をコリッコリッと背中で転がす。

「……この触手は、君の心が創り出したものだ。怖がるな」

 亀の頭部に蛇の体で出来た触手を、白虎は指で摘まんだ。

 くにゅくにゅくにゅ。ぐにぐに。グミの様に弾力性のある皮膚を指先でもて遊ぶと、それはピンク色に染まり硬くなっていく。

「玄武ッ!」

 初めてジンは快楽の為に女体を求めた。出会ってから何度も逢瀬を重ねた。しかしあれはあくまでも戦う為であり、治療の為でもあった。

「これはセックスではない。だからほむらの事は気にするな。お主の童貞は守られている」

 そう言って玄武は上に跨がり、腰を前後にグラインドしたのをジンは覚えてる。

 恐怖に打ち勝つ為に玄武を押し倒し、唇を貪る。

 そこに愛はない。

 みぢっ。歯と歯があたり肉が千切れる。

 鮮血。

 玄武の口から血が流れていく。

 じゅるじゅる。ジンはそれを飲み込む。

「負けるかッ! くそぉぉぉ」

 自らの意思でナノマシンを体内に取り込んだ。

「そうだ、お主の好きな様にしろ。本能の赴くまま我らを蹂躙するがいい」

 たぎるにたぎり、熱く暴れるペニスの先端が愛液に溺れ、女陰へ触れただけでぬるりと体内へ飲み込まれていく。

「…………ジンっ…………」

 玄武の腕が首に絡む。


「っんぁぁんっっ!」

 白虎が四つん這いの体勢で、尻を大きく突き出していた。

 触手がグネグネと蠢き尻の肉に絡み、二俣に分かれた先端が黒く影となった茂みに挿入していた。空気が漏れる音と体液の音が聞こえてくる。

 白虎はヒクヒクと体を震わせながら、枕に顔を埋めた。ぱっくりと開放された股間は栗の花の匂いで満たされている。

 ぬちゅぬちゅ。白濁した液をたっぷりと体内に注ぎ込んだ触手が、枯れるようにしなびていく。外気に触れている箇所から溶ける様にして、大気に消えていった。

「ジンどの……恐怖に打ち勝ったのか……」

 頬を染め涙目の白虎は、玄武の中に精を放ち倒れ込むジンの背中に抱きつく。

「姉さんだけズルい」

 白虎の右手がジンの尻の中央に伸び、左手で硬さを失わない陰茎をしごく。

「次は私だ……」

 リィィィン。不意に携帯が鳴った。

 ジンはそれを無視すると、白虎に身体を預けた。

「こっちの初めては私がもらう」

 白虎の舌が優しく尻をほじくる。

 

 そして、夜は更けていく。


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