第九章 思い出1-7










(嘘!こんなことって……)

紺と自分とを繋いでいた糸が、まさかのものの1分で無残に千切れたことに、マリカは絶句していた。


糸は途中でプツンっと切れて20センチほどの長さになってゆらゆら風に揺れている。



ゆらり。

ゆらり。



もう、膝を抱えたい気分だった。



「端っこがこんな風に切れて紺ちゃんは痛くないだろうか」とか、「帰るべき頼りがもう無い!」とか、もう何から心配して良いのやらわからない。



「ああ……。あああああ……」



「ごめん。マリカさん」



「いいえ。いいえ。大丈夫です、安河内やすこうちさん。でも……ああ」



「本当ごめんね。あれ?」



安河内の驚いた声にのろのろとマリカが顔を上げると、あたりは北海道の草原から夕暮れどきの住宅街へと変わっていた。

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