第五章 座敷わらしはじめました 1-3
「悪くないわよ、なんにも。全部込みで良い友達だと思ってるわ。
それにあんたには可愛いところもあるの、知ってるもの。どこかへ出かけるたびに彼女の服とか小物とか、贈り物を買ってるみたいだって富士見さんが言ってたわよ。ぶふ」
和泉は手に持っていた本を亜美に向かってぶんっと放り投げた。
もともと手渡そうと思っていたのだが、どうにも
亜美は当然のように頭を透かして、通り抜けた本を頭の後ろでキャッチした。
「わぁ……」
それを見て驚くマリカには、まだ慣れないことが多くあるようだ。
肉体を持たないからできることはそれなりにあるが、生前には無い感覚だけに使い分けは難しい。
法則は無いがコツがある。あちら世界ではそれがセオリーだ。
少しずつ身体で覚えるしかない。
「あっぶないわね」
「それ、マリカと読んでおいて」
「『座敷わらし13カ条』……なによコレ」
「お前が今読んだタイトル通りの内容。あと、後ろの方に貼り付けてあるメモは長野の観光資源についてだ。そっちは俺が書いた」
「え、あんた、あんな詐欺みたいなこと本気でまたやんの」
「亜美さん、どういうこと?」
「この人、『座敷わらしが出る旅館』ってな謳い文句でうちを売り出すつもりらしいのよ」
「えっとつまり……?」
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