第四章 目がさめるとそこは・・・ 2-3
指先で
「はい。他に行く場所も無いですし」
「よかった。この温泉みたいに、世の中には私たちみたいな魂だけの人間を、生きた人みたいにしてくれる霊場が幾つかあるけど」
「本当に?」
「ええ。例えば山梨の遊園地とかね。もともと廃病院だったお化け屋敷でルームシェアしている子達なんかも居たりして」
「なにそれ!興味深すぎます」
「ふふ。今度、和泉に言って遊びに行きましょ。私たち、和泉みたいな能力ある人間に管理された霊場に居る限りは安全だから」
「……そうでないときはどうなるの?」
「よく無い人たちに、よく無い場所に連れて行かれちゃう。生きている人たちにとって、珍しいものには価値があるし、価値があるものはお金になるのよ。『いくらこき使っても死なない働き手』なんて魅力的だし、『誰にも文句を言われずに可愛い女の子と暮らせる』なんてもっと魅力的。……だから、ここに居てよね」
いつかのスカウトマン、鬼原のことが思い出された。
「はい。……あれ、そういえば。ここで働くって私は何をしたら良いんでしょう」
「あら、本当っ。人手は足りてるのよね。聞きに行く?」
***
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