第四章 目がさめるとそこは

第四章 目がさめるとそこは・・・ 1-1




七月九日

『日記を「今日は」から書き始めるのは、馬鹿馬鹿しい』。

そう云えば昔、先生にこう言われたことがあった。

今日のことを書くから日記なのに、わざわざ「今日は」なんて書かなくていいのだって。

まあ、もっともなのだけど……ちょっと難しいよね。


、あの子のところへ遊びに行った。

病気を療すためとはいえ、部屋から一歩も出れないというのはなんとも気の毒だ。

この前花を贈ったとき、花瓶が無いと言っていたのを思い出して、気に入りの花瓶を持っていった。

花瓶といっても、飲み終わりの牛乳瓶だ。瓶の底がハート型に割れていたのが面白く、返却せずにずっと持っていた。それを贈った。

また遊ぶ約束をした。

(あの窓、綺麗に直せただろうか。侵入経路はあそこしか無いから、大人に見つかったら大変)

あの子はあんまり喋らない。

今日も潮の匂いがする。

そろそろ窓を閉じることにしよう。


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