第34話 孫ができた

 信仰が嬉しいのは、神様の方に還元されるはずだからだ。


 うちの神様が強化されたら、植物の成長に効果があるはず。


 願望でしかないが、ありえるのならやる価値がある。


 そういえば、八幡大菩薩も一緒に祀られていることになってたよな。


 ひょっとして、うちの神様がやたら喧嘩っ早ぱやかったのこれのせいか?

 十分ありえる。

 となると、ここに信仰が集まると、あの神様がどんどん乱暴になって行くのか。


 あれ、信仰を集める必要ない気がして来たぞ。


 俺は、過度な広報活動はやめるように指示した。


 時すでに遅く、一大巡礼地になってしまっていたが、気にしないようにしよう。

 信仰の地には攻撃を仕掛けにくいだろうし⋯⋯。


 いや、一向一揆とかいう事例があるな。伊勢長島に本願寺。


 ともに最後は焼かれている。あれ、これ危なくない?


 うん。集会開くの禁止で。


 神社も作らなくていいよ。俺には野ざらしがお似合いだ。


 みんなに協力してもらって、なんとかうまく誘導できた。全く戦国時代は地雷が多くて困る。


 武田と今川の脅威が消えた結果、小太郎たちにも余裕ができたようだった。


 俺のところに遊びにくる頻度が増えた。



 いつの間にか愛のお腹に子供ができていた。小太郎の子らしい。

 めでたい。


 増えに増えたお供え品を使って5人で宴会した。



 将門の呪いの効果が低くなっていて驚いた。




 理由を聞くと、一瞬銀孤の方を見て赤くなった。


 なるほど。ラブコメか。それは呪いの効果も低くなるだろうよ。


 俺と輝夜はやけ酒をした。


 2012年まであと何年あると思ってるんだよ。

 飲まないとやっていられなかった。

 みんなに慰められたので、まだ頑張ろうと思う。




 この頃、葉っぱを消費しすぎている。

 樹高の成長が止まりかけだ。

 そろそろリーフインジェクションを封印する時か。ありがとう俺の必殺技。


 お世話になった。


 もしかしたらまた使わなくてはならない時がくるかもしれない。

 その時まで眠っていてくれ。



 謙信は懲りもせず関東に何度も侵攻して来た。


 流石に学習したのか、俺の近くには兵を出さないようにしているらしい。


 だが、周りの村々でやはり略奪を行っているという話が出回って来た。


 なんてやつだ。


 俺の心内評価は落ちるところまで落ちた。



 風魔の四人は対抗すべく活発に動いているらしい。


 愛にはあまり無理するなよと言っておいた。いや、子供は大事にしなさいな。


 そうこうしているうちに、愛と小太郎の子供が生まれた。女の子だ。



 俺の元まで連れてくることになった。いや、屋敷で大事にしてあげた方がいいと思うのだが。


「あるじさま。名付けをお願いします!」




「ご主人様。良い名をつけてくださいね?」



 二人からのプレッシャーがすごい。


 名付けるのは愛以来800年ぶりか。あの時はどうしたんだっけ。



 確か、V○uber縛りにしていた気がする。




 うん。まあ、それで行こう。俺にネーミングセンスはない。




「わかった。じゃあ、この子の名は明あかりだ!」




 受け入れてもらえるか不安だったが、二人とも喜んでくれた。


 よかった。


 ありがとうミラ○アカリ。勝手に使ってすまない。


 明 (森人族)


 技能


「軍勢召喚」


「雲乗り」


「全体麻痺付与」


「諜報」


「忍術」


「房中術」



 技能を確認して見たらやばいことになってた。子供は両親の技能を受け継ぐのか。


小太郎の技能も愛の技能も使えるのが揃っている。


これは成長したら最強になるのではないだろうか。


 うん。教育は二人に任せよう。


「ちなみにどんな風に育てるつもりだ?」




「もちろん、あるじ様のお役に立てるようにです。」


「ご主人様のためならなんでもできる子にしますね。」


「ほどほどにな。」



 教育方針には口を出さないつもりだけど、流石に子供がかわいそうだ。

 銀孤に言いつけて、やりすぎないように注意させることにした。

 将門は頼りにならないから何も言っていない。

 少しは成長したんだろうか。


 銀孤は微笑んでいた。


「そんな将門もええわあ。」




 あっ。これもう惚れきってるやつだ。


 あばたもえくぼだ。手遅れだ。


 当人たちが幸せならいいや。とりあえず、結婚許可は出しておいた。



 ●






 里見義堯さとみよしたかを覚えているだろうか。


 下総の戦国大名である里見家の五代目。


 北条2代目氏綱の時代、風魔が起こしたお家騒動で当主となった人物である。



 彼は、北条の支配に頑強に抵抗した。


 度々は下総しもうさ(千葉県の上半分)まで進出した。


 合戦で北条軍を打ち破ったことも何度もあり、関東における対北条の盟主とも言える存在であった。



 何度も反抗する義堯に業を煮やし、氏康は上総に進軍した。


 第二次国府台合戦である。



 だが、この戦いに風魔は出なかった。愛の出産と重なっていたのだ。


 氏康はそれなら仕方ないと苦笑いしていた。



 そして、風魔の助けを欠いた北条軍は里見軍の奮戦で二人の武将を討ち取られた。


 結果は辛くも勝利というものだった。


 やはり、北条には風魔が不可欠だ。氏康はそう思ったのであった。

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