おふくろさん

マルぼん「おや、ヒロシ。買い物かい? 買い物ならば、よい機密道具があるよ。未来の世界で『主婦が選んだベスト機密道具』に選ばれた逸品さ。『割引腕輪』。この腕輪をつけた状態で袋を持参して買い物に行くと、レジで買ったものをその袋の入れてもらえる。で、袋代の5円を割引してもらえるんだ」



ヒロシ「ふん。僕はそんなみみっちい機密道具はいらないな」



マルぼん「いいから着けていけよ」



ヒロシ「わかったよ。でも、袋は持っていかないよ」



マルぼん「お守り代わりだよ、お守り」



ヒロシ「それじゃ、行ってくるね。一週間後には帰ってくるから」



 そんなわけで、ヒロシは『割引腕輪』を装着して買い物へ。買い物の場所は、海外です。



黒服「いらっしゃい。約束の金は持ってきましたか」



ヒロシ「こちらに。約束の500万円ですですから早く、例のものを……」



黒服「たしかに。はい、これはおつりの5円です」



ヒロシ「え。こ、これはもしや『割引腕輪』の効果!? 僕、袋なんて持参していませんよ!?」



黒服「すばらしい袋をお持ちではないですか。さぁ、さっそく商品を袋に入れましょう」



ヒロシ「ちょ、ちょ…うごっ」






ニュース『続いてのニュースです。コカインの入った袋を大量に飲み込み、胃袋に隠して国内に持ち込もうとした少年が税関で逮捕されました』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る