ヒロシの人生(むずかしい)

ヒロシ「次は難易度『むずかしい』にしようと思う」



マルぼん「ええ!? 『やさしい』ですらろくに生きることのできなかったキミが『むずかしい』人生を送るっての!? 『むずかしい』は周りの人々の能力も桁違いすごい上、『ふつう』だったら楽勝のこともかなり困難になるんだよ」



ヒロシ「かまわない。かまわないよ。周りが困難であればあるほど、それに立ち向かう自分は成長できるということじゃないか。僕は、成長したい。それから…」



マルぼん「それから…なに?」



ヒロシ「僕の人生のスタート画面に『はじめから』って項目があったろ。あれ、選択したら人生を最初からやり直すことができるんだろ」



マルぼん「…まさか、難易度を『むずかしい』にして人生をやり直すつもり?」



ヒロシ「…うん」



マルぼん「無茶だ…無茶すぎる! こういったらなんだけど、何のとりえもない君が、キミが…!」



ヒロシ「いや、マルぼん。僕にはとりえがある。それは『生まれてきたこと』さ。生命の誕生はまさに奇跡。その奇跡を乗り越えた僕には『命』という武器がある。『生まれてきたこと』と『命』。このふたつがあれば、僕はどんな困難ものりきる自信がある。どんな困難も成長の糧にする自信がある。だから、だから頼むよ」



マルぼん「…負けた。負けたよ、ヒロシくん。キミなら『むずかしい』人生を成長の糧にできるかもしれない」



ヒロシ「ありがとう、親友」



 こうしてヒロシは『むずかしい』難易度の、新たな人生を歩むことになったのです。口にはできないような難しい問題の数々がヒロシの前に立ちふさがることでしょう。しかし、『命』の大切さ、そして『生まれてきたこと』に誇りをもつヒロシなら、きっと困難な人生をのりきることができるだろう。そして、そんなヒロシの新たな人生の『序章』がはじまりました。



 時は19××年。微笑町の公園。



若い男「うどん子さん。話があるんだ」



若い女「なあに、そば彦さん。今、いずれ生まれるであろう2人の子供の名前を考えていたのよ。女の子なら、ヒロ子。男の子なら…」



若い男「名前はもう必要ないんだ。おろしてくれ。お腹の子」



若い女「え…ええ…! なんで、どうして!? あんなに愛し合ったのに! ねえ、いったいどうして!?」



若い男「どうしてって……俺にもわかんねえよ。口じゃ説明できない難しい問題なんだ。」

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