予薬

ヒロシ「たまには贅沢をということで、家族でちょっと小じゃれたレストランへ行ったんだ。でも楽しみにしていた名物料理が『予約がないと無理ですー』とか言われて出してもらえなかったの。なんとかならないかなあ」



マルぼん「ちょっと待って。レストランって、マルぼん知らないよ?」



ヒロシ「それは置いといて、どんなものでも簡単に予約できる機密道具よこせよ」



マルぼん「レストランって。レストランって」



ヒロシ「いいからよこせよー」



マルぼん「うう。豪華ご飯。豪華ご飯…」



 とめどなく溢れる豪華ご飯への欲望をなんとか抑えつつ、マルぼんは『予薬』という機密道具をだしました。液状の薬であるこの機密道具を適当なものに一滴たらすとあら不思議。薬をあびたものは、浴びせた人だけが使える専用アイテムになるのです。



ヒロシ「これはナイスアイテム。よし。これで色々なものを僕専用にしてやろう!」



マルぼん「どうせルナちゃんに使って自分以外と結婚できないようにする、とかだろ。この色狂い」



ヒロシ「ちがうよ。今、世界のあちこでは戦争が続いているだろ。戦争には兵器が作られる。その兵器に『予薬』を使うんだ。これで兵器は僕専用になり、ほかの人は使うことができない。兵器が使えないということは…」



マルぼん「そうか、戦争をすることができない! ヒロシにしてはいい案じゃないか。よし、機密道具を駆使して世界中の兵器に『予薬』を使おう」



 こうして、マルぼんとヒロシは地球平和作戦を実行に移し、すべての兵器を使用不可にすることに成功したのでした。




某えらい人「何? 兵器が使えない? どういうこと?」



某副官「わかんないです。なんかヒロシがどうとかこうとか」



某えらい人「とにかく兵器使えないとはな……例の国の反乱分子掃討どうするよ」



某副官「心配ご無用。使わなければいけない兵器が使えないなら、使わなくても放っておけば効果があがる兵器を使えばいいのです」



某えらい人「?」 



某副官「強力な感染症にかかったヤツを数人、例の国に送り込む。こいつなら普通の兵器より強力だし、建物も壊さずにすみます」



某えらい人「おまえ頭いいなぁ! さっそく国立感染症予防センターから適当な患者を連れてこさそう。いやー。災い転じて福となす、ってやつだねえ」

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