みんなチカラ

ビデオ『人間もまた自然の一部であるのです』



マルぼん「ヒロシくん、なんのビデオを観ているの?」



ヒロシ「ルナちゃんが貸してくれたビデオ。『別に絶対間違いなく宗教とか関係ない、観れば心が綺麗になるビデオ』なんだって」



マルぼん「のめりこむのは、懐に余裕がある時にしておくれよ」



ビデオ『人間は1人では生きてはいけません。他の、たくさんの人たちの力で生きているのです。それを実感しましょう。そのためには、この霊験あらたかなツボを』



ヒロシ「ツボとか必要なしに、『たくさんの人たちの力で生きている自分』を実感したいなぁ」



マルぼん「『じっカンバッヂ』。こいつをつけていれば、実感したことをすぐに実感できる事態に遭遇できる」



ヒロシ「へえ」



『じっカンバッヂ』をつけて外出するヒロシ。しばらくして。



ヒロシ「きゅう~げふっ」



ナウマン象「や、やってしまったぞ。死んだ!」



金歯「そ、そんなそんなばかなでおじゃる」



ルナちゃん「どうします!? どうします!? やっぱ自首!?」



金歯「いや、いや。朕に良い考えがあるでおじゃる。ヒロシは『死んでいないこと』にするのでおじゃるよ。ヒロシの携帯電話もここにあることだし」



ルナちゃん「?」



翌日



ナウマン象「え、大沼君ですか。ええ、昨日一緒に遊びましたよ。元気そうでした」



金歯「昨日、電話がかかってきたでおじゃる。着信履歴にも、ほらこのとおり」



ルナちゃん「昨日、『これから長い旅にでる』とか言っていました、大沼くん」



警官「こりゃ失踪だな」



警官「失踪だ、失踪」



警官「生きているみたいだし。よかったな。はい、捜査終了~」



 こうしてヒロシは、みんなの力で生きていることになりました。マルぼんは『じっカンバッヂ』の効果は絶大だと思いました。

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