解決熟女

ヒロシ「今夜の夕食はカレーライス。僕、カレーって大好きなんだ。もぐもぐもぐ。ああ美味しい。もぐもぐもぐ。ああでも、悲しくなってしまう」



マルぼん「なんで好物を食べているのに悲しくなるんだい」



ヒロシ「ほら、もうすぐカレーがもうすぐなくなってしまうだろう。なくなってしまったら、明日はカレーを食べられない。作って2日目のカレーは熟してさらに美味しくなるというのに、食べられなくなってしまう。それが悲しいんだ。おーいおいおいおいおい」



マルぼん「やれやれ。涙もろい子猫ちゃんだこと。涙をお拭き。この粉をカレーにまぶすといい。『熟念離根』という木の根を煎じて作った粉で、こいつをまぶしたものは、どんなものでも熟してしまうんだ」



ヒロシ「わぁ。カレーが2日目の味になったよー。この粉を使ったら、いつでも熟したカレーが食べられるね」



ママさん「たいへんよ。パパが小豆相場で大失敗して多額の借金ができちゃったわ」



ヒロシ「それはたいへん!」



ママさん「でも、お金を借りた消費者金融が、社長の誕生日にお金を返済したら、ちょっとまけてくれるんだって。その誕生日はもうすぐなの」



ヒロシ「へー」



ママさん「ヒロシの入っている生命保険の会社、創業ン十年とかで『どんな不審な死に方でも調査なしで保険金を全てあげちゃうキャンペーン』を実施中なんだって」



ヒロシ「……」



ママさん「微笑町の家庭裁判所、離婚夫婦10万組達成突破記念とかで『失踪者、速攻で死亡認定キャンペーン』を実施中なんだって」



ヒロシ「……」



ママさん「ご近所の皆さん、ちょうど揃ってお出かけ中で、今この辺り、誰もいないんだって」



ヒロシ「……」



ママさん「あと、今、お付き合いしている人が、『ガキさえいなけりゃ、お前サイコーなんだけどな』って言ってるんだ」



ヒロシ「……」



 ママさんが、胸元から出刃包丁を取り出しました。マルぼんは機まで熟してくれた『熟念離根』の粉の効果は絶大だと思いました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る