自己紹介

担任のヘクトパスカル先生「はいはいはい、貴様ら注目よ~。今日から新しく、貴様らの学友になる子を紹介するよ」



権田林「…よろしく」



桜井ゴメス先生「権田林さんのお父さんは、勢い余ってとてもヤバイところに、切断した己の小指を送りつけちゃったりするような人で、現在さまざまな組織に追われて行方不明。権田林さんは、母方の姓を名乗り、過去を捨て、微笑み町に引越してきたんだ。貴様どもはこぞって仲良くするように。あと、権田林さんのお父さんを見かけたら、最寄の警察署又は交番に至急連絡するように」



一同「うぉー」



ヒロシ(権田林さん…か、かわいい!権田林さんに僕という人物を知ってもらいたい…)



 そんなこんなで帰宅したヒロシ。



マルぼん「簡単に自己紹介できる機密道具?」



ヒロシ「そう。その簡単に自己紹介をできる機密道具……僕という生命体のことをすみからすみまで理解していただけるような、できれば僕のことを死ぬほど愛してくれるような、そんな機密道具をだして欲しいんだ」



マルぼん「あることはあるよ。でも、どうせならマルぼんやヒロシ、その他の風が吹いたら飛んでしまうほど存在感がない登場人物どもの紹介も一気にやってしまったほうが、いいかもしれないね」



 マルぼんは『人物紹介機』という機密道具を用意しました。



 この機密道具は、未来の世界にある『ありとあらゆる情報を記録した超データベース』とリンクしており、どんな人物の紹介文でも瞬時に作り出してしまう優れものです。



『「覚せい剤を売りさばけば組の幹部にしてやる」と騙されて、最後は路地裏でみっともなく死んでいるのを発見されたチンピラ』など、歴史の裏で死んでいった人々の人物紹介だって、簡単にできてしまいます。



 この機密道具で、マルぼんやヒロシ、その他ひとやまいくらの連中を、権田林さんに紹介してやろうという趣向です。



権田林さん「きゃー!! 醜い化け物!! 近寄らないで!!」



 マルぼんを見た権田林さんが悲鳴をあげました。蟲レベルの生き物ならば、近づくだけで死んでしまうというくらい醜いマルぼんをはじめて見たのです。仕方ない反応です。



 ヒロシが注射器で投与した精神安定剤のおかげで、権田林さんは落ち着きました。



権田林「本当に、とって食ったり、外国に売りさばいたりする気がないんですね? ないんですね?」



ヒロシ「ないよないよ。ただ、僕という生命体の全てをもっと知って欲しいだけ…

さぁ、『人物紹介機』始動!」



 スイッチを押すと、『人物紹介機』が動き始めて、ヒロシの紹介文が書かれた紙が出てきました。マルぼんはその紙を読み上げます。



マルぼん「『大沼ヒロシ(2010~2020)微笑町に暮らしていた人物。深夜に裸足で近所を徘徊する小学生として名を馳せる』」



ヒロシ「ちょっと待って! 」



マルぼん「なんだよ。説明はまだ途中だぜ」



ヒロシ「僕の名前の横になぞの数字はなあに」



マルぼん「ああ。生没年だね。未来の世界の超データベースは、あらゆる人物の生没年も記録しているんだ」



ヒロシ「生没って、え? 2020年!? 」



 驚くヒロシをよそに、人物紹介機からは、他のメンバーの紹介文が印刷されています。



         ルナちゃん(2010~2020)


         金歯(2010~2020)


         ナウマン象(1964~2020)


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