とらいあんぐらー

ヒロシ「ううう。腰が痛い。痛いよう。助けてぇ。ルナちゃん助けてぇ。もう悪いことしないからよう」



マルぼん「ここでマルぼんから一言。『病院へ行けやドアホ!』」



ヒロシ「それもそうだね。近くの整形外科へ行ってくるよ」



マルぼん「あいやまたれい。腰が痛むからといって、整形外科にだけいくのは愚の骨頂」



ヒロシ「なぜじゃ。なぜ腰の痛みで整形外科へいってはならぬのじゃマルぼん」



マルぼん「腰痛の原因は、胃腸にあることも多いのじゃ。腰に無意味な治療をしている間に、胃腸の病気が悪化に悪化。ついには手遅れになるということがありうるからじゃ。悪いことは言わないから、整形外科以外も受診せい」



ヒロシ「マルぼんよ。我が家は諸事情で国民年金未加入。医療費は全額負担じゃ。両方を受診する経済的余裕など皆無」



マルぼん「ならば機密道具『どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン』を使おう。病気になった際、どんな病院へ行けばいいかを判断してくれる道具じゃ」



 『どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン』に判断により、ヒロシは整形外科に行けばよいことが判明。適切な処置により、珍しくハッピーエンドを迎えるヒロシなのだった……



ヒロシ「おい、『どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン』の話をしたら、『是非とも使わせて~」って人が多数いることが判明したぜ。ちょいと小金を儲けようや」



マルぼん「おうよ。どんどん希望者つれてこいや」



ヒロシ「まずは、同級生の晴彦くん」



晴彦くん「昨日から悪寒が続いているのです」



どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン「内科へ行ってください」



ヒロシ「続いては、近所の中村さんの未亡人」



未亡人「昼間から体が……疼くのです。夜も人恋しくて」



どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン「心療内科へどうぞ」



ヒロシ「続いて、ママの友達である吉良さんと、その娘の譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃん」



吉良さん「譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃんは、私に似て音楽やダンスの才能があるんです。残念ながら私は、理解のない親や周囲の大人たちによって、音楽やダンスで大成するという夢を果たせませんでしたが、譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃんはそうはいきません。私譲りの才能で、きっと世界に名をとどろかせてくれるはず。私の夢をかなえてくれるはず。そのために、毎日レッスンをしているんです。月曜はダンススクール、火曜日はピアノ。水曜日はバイオリン。木曜日はタレントスクール。金曜日はタップダンスで土曜日は歌。あ、関係ないですけど、譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃんの来ている服、超似合うでしょ。私、譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃんに素敵なお洋服をたくさん着せてあげることが大好きなんです。まるでフランス人形さんみたいにかわいいでしょ。1日10回は着替えてもらうかな。ってな感じで、やることがいっぱいあるのに、譜嗚瑠徹詩喪(フォルテッシモ)ちゃんってば『しんどい』とか言い出すんです。私の夢をかなえるのに忙しいというのに、ほんとバカ。さっさと治したいので、病院のどの科にいけばいいかおしえてくださる?」


どっちにするの!? 通院三角関係解消マシーン「こちらへどうぞ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る