峠をせめるな、俺を責めろ!
金歯「父上に頼んで、運転免許証を買っていただいたでおじゃる。朕の運転でドライブに行かないでおじゃるか?」
ナウマン象「行くっ」
ルナちゃん「楽しみだわ!!」
ヒロシ「僕も! この僕も!!」
金歯「ヒロシは来るな! この下郎!!」
ってなことがあり、ヒロシが泣きながら帰ってきました。
ヒロシ「僕もルナちゃんとドライブしたいよ!!」
マルぼん「このボタンを金歯の車に付けてきな。どこでもいいからさ」
言われるまま、金歯の車にボタンを付けにいくヒロシ。『その場で奇声を発する』『「いい天気ですね、げへへ」と靴を舐める』『生まれたままの姿になって、大地を自由に駆け回る。そして「自分は大地の子である」と太高らかに宣言をする』『割腹自殺を図ってみる』『地面に耳をつけ、「聞こえる。地球のオーケストラが聞こえる」とつぶやく』『ルナちゃんを押し倒す』『掲示された部活の写真が気に入らないと、母親とともに学校に押しかけて、親子で教師に暴力をふるう』などのカモフラージュ作戦を駆使し、気づかれないように、金歯カーにボタンを付けるのに成功。
そんなヒロシが帰宅すると、部屋に車が置いてありました。レプリカのようですが、きちんと乗ることができる車です。すでに助手席に座っていたマルぼんがヒロシを手招きします。誘われるまま、運転席に入るヒロシ。
マルぼん「そろそろいけるな」
ハンドルの近くにあったスイッチを押すマルぼん。するとどうでしょう。四方の窓がスクリーンのようになり、
どこかの風景を映し出したではありませんか。
ヒロシ「これは…金歯の家の前じゃないか」
金歯『ほんと、ヒロシは生きる価値ないな』
ルナちゃん『そんなこと言ったら可哀想よ、本当のことだけど! がはははは!!』
ヒロシ「え!? クズどもの声!?」
マルぼん「現実に連中の話している声が聞こえるのさ」
ナウマン象『そんなことよりな、さっそく出発しようぜ』
金歯『オッケー』
窓に映し出された光景が、少しずつ動き始めました。
ヒロシ「動いているように見える」
マルぼん「これは『ストー車ー(カー)』。付属のリンクボタンをくっつけた車とリンクして、その車とまるで同じ体験をできるんだ。
ナウマン象『窓を開けるぜ』
心地よい風が、マルぼんとヒロシをやさしく包み込みます。
ヒロシ「本物の金歯の車に風が入ってきたから、こっちにも風が入ってきたんだね」
金歯『砂利道だ。ちょっと揺れるよ』
ヒロシ「わ、本当に揺れてきた。すごいや。本当に車に乗っているみたい」
金歯『どうだい、朕のドライビング!! なんぴとたりとも、朕の前は走らせねえ!!』
ルナちゃん『ちょ、金歯さん、前を見ないと!!』
ナウマン象『あ、ダ、ダンプカーが!! ぎゃ!! おかーちゃーん!!』
部屋に放置してあった巨大な車のおもちゃ(なぜかぐしゃぐしゃにつぶれていた)の中から、ヒロシとマルぼんの無残な死骸が発見されたのは、5日後のことでした。
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