くだらない話

ヒロシ「ううう。歩くのめんどくさいなぁ。いっそのこと、全ての道が坂道……下り坂ならば、歩みも自然に速くなり、楽なんだろうけど。全ての道が下り坂になるような機密道具、ないよね」



マルぼん「あるよん。『坂道コロコ蝋』この蝋を溶かしたものを塗った道を歩くと、たとえ普通に道でもたとえ上り坂でも、下り坂を歩いているように体が錯覚する。」 



マルぼんは『坂道コロコ蝋』を溶かして廊下に塗りました。ヒロシがその廊下を歩くと



ヒロシ「ああ本当だ! 坂道を下るかの如く、自然と早足になる」



『坂道コロコ蝋』の効果にたいへん満足された様子のヒロシは、夜を徹して家の周りの道に『坂道コロコ蝋』を塗りたくりました。



ヒロシ「いずれば、微笑町の道という道に塗りたくってくれるわ!」



 夢をでっかく語りながら、蝋を塗りたくった道へと踏み出すヒロシ。



ヒロシ「うわあ!」



 なんということでしょう。蝋を塗りすぎたせいで、道はすべりやすくなっていたのです。転倒したヒロシ。『坂道コロコ蝋』の力で、普通の道を下り坂と勘違いしているヒロシの体は、平らな道を転がっていきます。ちょうどその前を通りかかったおじいさん。



女性「おじいさん、危ない!」



 おじいさんのツレらしい女性が叫びましたが、回転ヒロシに激突したおじいさんは宙を舞いました。そして



女性「人殺し!」



 動かなくなったおじいさんにすがりついてたツレの女性が、ヒロシに向かって叫びました。



ヒロシ「ぼく、僕は」



女性「ひとごろし!」



 マルぼんは、ヒロシの人生も坂道を転がっていくかのようにしてしまった『坂道コロコ蝋』の効果は絶大だと思いました。


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