ナウマン象の青田買い

 マルぼんが公園へ遊びに行くと、全裸で四つん這いになったヒロシがナウマン象に鞭打たれていました。ひとつの愛の形だな温かく見守ろうとか思っていたんですが、愛は関係ないらしく、ナウマン象曰く「子分にするべくヒロシを鍛えている」のだそうで。



ナウマン象「昨今の少子高齢化のせいで、俺たちガキ大将の子分になる子供も減っているんだよ。ガキ大将は、より優秀な人材を子分にしようとやっきになっているんだ。俺も目をつけているヤツが何人かいたんだけど、ほかのガキ大将に青田買いされてしまってよう……。こうなったら、ダメなやつでも我慢して子分にするしかなくてな」



ヒロシ「きみには『暁のスナイパー』だの『陸の殺人人魚』だの『栃木の人間コンピューター』だの『平成の大久保清』だの『トラウマ制作請負人』だの様々な異名をもつ子分がたくさんいたじゃないか。あいつらはどうしたの」



ナウマン象「卒業して故郷に帰ったり、就職が決まったりして全員辞めたんだよ」



ヒロシ「マルぼん、僕、ナウマン象の子分なんていやだよ。なんとかしてよ」



マルぼん「仕方ないな。ようするに、他のガキ大将に青田買いされる前に、優秀な人材を確保すればいいわけだ。こいつを使ったらどうだろう。『素質探知機』。優秀な素質のある人間に近づくと、音を鳴らせて知らせてくれる機密道具。『○歳以下の人間にだけ反応する』など、年齢設定が可能だからこいつで、他のガキ大将が目をつけていないくらい幼い子供から優秀な素質のヤツを見つけ出して、さっさと子分にしておけばいいんだ」



ナウマン象「ようし!」



 ナウマン象、「5歳以下の人間にだけ反応」と設定した『素質探知機」 片手に町をうろつきます。



ナウマン象「おおっ! 『探知機』が鳴り始めた! 近くに優秀な素質を持ったやつがいるんだ! スカウトせねば!」



 きょろきょろとあたりを見まわすナウマン象。



ナウマン象「わかった! あそこに入っているんだ!」



すぐ近くを妊婦に近づき、その腹に向かって



ナウマン象「俺と天下を取らねえか!」



妊婦「な、なんですか、YOUは!」



ナウマン象「俺と、天下を」



妊婦「ヘルプミー!」



 駆けつけた警官に連行されたナウマン象は色々と鑑定されて、「このままじゃ、近い将来、色々とやらかしそうだ。今のうちになんとかせんと」と、山奥の施設へ連れて行かれました。



 マルぼんはナウマン象まで青田買いされてしまうようにした、『素質探知機』の効果は絶大だと思いました。

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