人は中身
マルぼんが家に帰るとですね、家の中が、なんか食玩らしき人形で埋め尽くされているですよ。バカじゃないかと思いましたよ、マルぼんは。
ヒロシ「シークレットの『牙沢』が当たらないんだ。当たらないんだよう…」
アホか。この少年はアホか。情けなくなったマルぼんですが、これ以上食玩で家を埋め尽くされ、『重みで二階の床が抜ける→一階のママさん圧死』なんてお笑い事件に発展してもこまるので、機密道具を用意して差し上げることにしたのでございます。
ヒロシ「『中身透視眼鏡』?」
マルぼん「捻りのないネーミングだけど、こいつをつければ、どんなものでも中身を見ることができるの。
これでお望みの品が入っているヤツを選びなよ」
ヒロシ「本当に? どれ、装着してみるか。…どう?」
ママさん「ごはんよー」
ヒロシ「あ!」
ママさん「なに?」
ヒロシ「お母さんのお腹に、妹が…僕の新しい妹が!!」
ママさん「あれえ? バレちゃった? 実はね、この前、自己啓発セミナーで素敵な殿方と…」
ヒロシ「ち、ちがう…妹じゃ…ない!! あれは妹じゃ…人間じゃ…」
マルぼん「ヒロシ?」
ヒロシはガタガタと震えだし、失禁してしまいました。涙や鼻水やヨダレがダラダラと流れ……
ヒロシ「だ、だめ…だめだ…アレを…この世に誕生させたら、ダメだ…世界が、世界が…
げばっ」
血を吐いて卒倒するヒロシ。
つけっ放しにしていたテレビではいつの間にかニュースが流れ、
『人の顔をした牛が生まれて不吉な予言をして死んだ』
『奇形の魚が大量に獲れた』
『ある病院で、ここ最近生まれた子供はすべて男の子だけだった』
『馬がしゃべった』
『男にかける情念で少女が女に化身した』
『石像が血の涙を流した』
など、不吉なニュースが流れていました。ヒロシは『中身透視眼鏡』の効果は絶大だと思いました。
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