ヒロシ、思うままわがままに旅を続けたい
ママさん「マルちゃん! 歩くたびに、なんか体から変な液がたれているわ! 拭きなさい!」
ママさん「ヒロくん! 庭の雑草を抜くの面倒だから、あんたがやりなさい!」
ママさん「ダーリン! 休日に家でゴロゴロされたら不快なので、一日出かけてきなさい! はい、小遣い!(100円を投げる)」
マルぼん「なんだいなんだい。ママさんってば、上から物を言ってさ」
ヒロシ「まぁ、わが家のエライさんだから仕方がないよ。ああ、僕も一度でいいから、人様に上からものを言って、優越感にひたりたいなぁ」
マルぼん「人と話すとき、自然と卑屈になり、最終的に相手の靴まで舐めだしてしまうくらい小心者のきみが、上から物を言うなんて無理だよ」
ヒロシ「それをなんとかするのが君の仕事、生きる意味だろう」
マルぼん「しかたないな。『思うままリップ』。こいつを唇に塗ると、自分の思うままに話をすることができる。たとえ悲しい場面でも『明るく話したい』と思えば、小粋なギャグのひとつやふたつは余裕で話すことができるよ」
ヒロシはさっそく『思うままリップ』を唇に塗ると、人様に上から物言うべく、出かけて行きました。
ヒロシ「それじゃ、行ってくるね」
マルぼん「行ってらっしゃい」
しばらくして、病院から電話がかかってきました。
マルぼん「え、ヒロシが!? ダンプカーに跳ねられて!? その短い生涯を!?」
ヒロシ亡き後、マルぼんは大沼家の養子になりました。学校に、職場に、がんばっています。そもそもマルぼんは人間じゃないので色々苦労することもありますが、そういうときは空を見上げます。
「がんばれよ、マルぼん」
ヒロシが、空の上からマルぼんを励ましてくれているような気がして、元気になれるからです。
マルぼんは、ヒロシがものすごい上から物を言えるようにしてしまった『思うままリップ』の効果は絶大だと思いました。
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