町の防水王

ナウマン象「俺発見。大発見。台風の夜に、風雨にうたれていたら、ものすごく気持ちいい!」



一同「……」



ナウマン象「幸い、今日はすげえ台風だ。みんなで風雨にうたれようぜ!」



一同「ええー!?」



ヒロシ「てなことがあったんだ! こんなに激しい風雨にうたれたら、僕、壊れちゃうよぉ!」



マルぼん「でも断ったら、ナウマン象のヤツ、町に火を放ちかねないしな」



 以前、自分の企画した行事をブッチされたナウマン象は、老人ホームに立て篭もり、射殺されたことがあるくらいです。なにをしでかすかわからないのが、彼の長所であり短所であるのです。ぐむむ。



ヒロシ「なんとかしてえ!」



マルぼん「『絶対防水スプレー』。このスプレーを吹きつけた体の表面には、未来の科学を駆使して造られた『防水バリアー』が張り巡らされる。このバリアーはどんな水でも完全に防いでくれるんだ。たとえ壊れた水道管の水が下から突き上げてきても

バリアは破られないので、濡れることがない」



 そんなわけで、『絶対防水スプレー』を全身にまんべんなく吹き付けたヒロシは、ナウマン象主催の『台風のなか、雨にうたれてその快楽に身をゆだねる会』を乗り切ったのでした。



ヒロシ「いやー余裕ですよ、余裕。ナウマン象なんて、風で下着を飛ばされてキャーとか叫んで情けないのなんの!」



マルぼん「そいつは痛快無比だね」



ヒロシ「ははは。……ちょっと失礼。花を摘んでまいります」



 しばらくして、ヒロシが青い顔をして戻ってきました。



ヒロシ「たいへんだ、たいへん! 出ない!」



マルぼん「なにが?」



ヒロシ「…おしょうすい」


マルぼん「『防水バリアー』はどんな水でも確実に防水する。たとえ壊れた水道管の水が下から突き上げてきてもバリアは破られないので、濡れることがない外からくる水がバリアーを破れないのと同じで、内からでる水もバリアーを破れない。出る穴にもバリアーが貼られているから、出なくて当然だよ。きみ、今日は汗ひとつかいてないだろ」



ヒロシ「バ、バリアーはいつ解けるの!?」



マルぼん「1カ月」



 マルぼんは、ヒロシを膀胱炎へと追い込んだ『絶対防水スプレー』の効果は絶大だと思いました。

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