誉めて伸ばすくん
マルぼん「いやーきれいだよ。かわいいよ。なに、そんなこと言われたら照れる? んもー!」
ヒロシ「マルぼん、なに庭の草花に話しかけているの? ついに発狂いたしましたか?」
マルぼん「ちがうよ。早く草が伸びるように『誉めてのばすメガホン』を使って、草を誉めているんだ。このメガホンを通して誉めたものは、どんなものでも伸びる。小学生を誉めたら、その小学生の才能が伸びたりするほれみろ、誉めた草がすごい勢いで伸びているだろ」
ヒロシ「なんで草を伸ばす必要があるの? この間、草むしりをしたばかりなのに」
マルぼん「ママさんが、草むしりをすればするほど、お小遣いをくれるというからさ。伸ばしてむしる、むしって伸ばすを繰り返してお小遣いゲットという寸法さ」
ヒロシ「姑息だなー。でも、この機密道具で一儲けできないかしら」
ナウマン象「なんでも伸ばせるメガホンだって? 謝礼をするから、ちょっと来てくれないか。伸ばしてほしいものがあるんだ」
マルぼん「いくいくー一儲けだー」
それから1週間、マルぼんは帰ってきませんでした。いいかげん心配になったヒロシはナウマン象にマルぼんのいる場所を聞いて、そこへ行くことにしました。そこは病院の、集中治療室でした。
マルぼん「すごーい。90年もがんばって生きているなんですごーい。すごいよ、すごいよ。かっこいいー! かっこいいー!」
ベッドの上で色々な機械と繋がった状態で寝ているおじいさん。そのおじいさんにメガホンを向けて、ひたすら誉め言葉をぶつけているマルぼん。おじいさんの眠るベッドとマルぼんの周りには、黒い服を着たガラの悪い男たちがたくさんいます。ナウマン象もその中にいました。
ナウマン象「あれ、うちのオヤジ(盃的な意味の)の上司で、屈強で残忍な男たちをすべる立場にいるじいさんなんだけど、もう虫の息で、非常にやばい状態なの。でも、死なれたらこまるだろ。だからマルぼんにはがんばってもらっているンだ。マルぼんてば、『じいさん死んだら、オマエも死なす』と頼んだおかげで、失禁しながらやってくれているよ」
マルぼん「すごーい。90年もがんばって生きているなんですごーい。すごいよ、すごいよ。たすけてー。かっこいいー! かっこいいー!」
マルぼん「すごーい。90年もがんばって生きているなんですごーい。すごいよ、すごいよ。かえりたーい。かっこいいー! かっこいいー!」
マルぼん「すごーい。90年もがんばって生きているなんですごーい。すごいよ、すごいよ。げほげほげほっかっこいいー! かっこいいー!」
ヒロシは、死にかけのじいさんの寿命までのばすことができる『誉めてのばすメガホン』の効果は絶大だと思いました。
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