古墳フンフン

 マルぼんが気づくと、大沼家の皆さんが消えていました。3日後、髪の毛が全て白髪になって帰宅してきた一家。



マルぼん「なにがあったの? よく見たら、町の人がみんな白髪だし。人生に絶望している顔しているし」



ヒロシ「き、金歯がね『タイムカプセル作ったから、それを埋める大きい穴が欲しいでおじゃる♪』とか言い出して、町の住人総出で穴掘り作業を、ね…」



マルぼん「マルぼんは呼ばれなかったよ?」



ヒロシ「マルぼんは、ほら。この町の住民と認められてないし。仕方ないよ。いいよな、誰からも信頼されていないやつは」



 軽く不快になっていると、金歯が訪ねてきました。



金歯「タイムカプセルを埋めていて、朕はせつない気持ちになったのでおじゃる。『未来の朕は、どんな人間になっているのでおじゃろう』って。やんごとなき身分で、愚民どもを導いているのは確実でおじゃろうが、細かい部分が気になるのでおじゃるよ。ホレ(札束をマルぼんとヒロシに投げつける)。これで、適した機密道具を用意するでおじゃる」



マルぼん「うへ、うへへ(札束を胸元にしまいこむ。ヒロシはお茶の用意へ)。まかせてくださいよー金歯の坊ちゃん! よい機密道具があるんですよー。はい『未来絵豆』。こいつをひとつ食えば、1年先の自分に10分間だけ変身できますですよ。ふたつ食えば2年先。こんな具合で、食えば食うほど未来の自分に変身できやす」



金歯「なるほど。これを食べて未来の世界の自分になった朕の姿を、ビデオかなんかで撮影して、あとで観るという寸法でおじゃるな。いい感じでおじゃるよ」



「とりあえず1年」と、『未来絵豆』をひとつ口にする金歯。



 食べた瞬間、金歯は光に包まれした。この光が消えたとき、金歯は一年先の姿になっているはずです。ビデオ片手に待つマルぼん。



 光が消えたとき、そこには喪服姿のヒロシとナウマン象とルナちゃんがいました。

それぞれ、遺影と遺骨と位牌をもっています。



 遺影は、満面の笑みを浮かべている金歯でした。マルぼんは、十分以内に自由にビデオの映像を捏造する機密道具を用意しなければいけなくなりました。

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