大地の子
ヒロシ、さきほどから「おかしいなおかしいな」とつぶやきながら、家の庭をうろうろしています。かつて「僕は足から大地のパワーを吸収しているんだ。大いなる大地のパワーをね!」と裸足で町を徘徊した挙句行方不明になり、半月後、地元猟友会協力の下に行われた山狩りによって森で半ば野生化しているところを救助されたという前科をもつヒロシ。
マルぼん「よもや病気が再発したのでは」
戦々恐々としつつマルぼんが理由を尋ねてみると
ヒロシ「いや、ちょっと探し物があってね。庭に落ちてないか探していただけなんだよ」
再発はなかったようで一安心。
ヒロシ「にしても見つからないなぁ。目を皿と化して探しているのに。どこにいったのだろう」
マルぼん「どうしても探し物が見つからないときはこれを使えばいい。『灯台もと暗しCC9』。こいつを飲むと、探しているものが自分のすぐ近くで見つかるんだ。たとえ遠くでなくしたものでも、偶然に偶然が重なって、必ず飲んだ人のすぐ近くで見つかるようになる」
ヒロシ「そいつはいいや」
ヒロシ、『灯台もと暗しCC9』を服用します。
ヒロシ「あ! さっそく効果がでたぞ。ほらみろ。僕の足元、掘って埋めたあとがある。きっとここだ」
ヒロシ、その部分をスコップで掘り始めます。
マルぼん「ところでなにを探していたんだい」
ヒロシ「母さんのお気に入りの指輪だよ。ルナちゃんとのおままごとで臨場感をだそうと、一週間ほど前に拝借したんだけど、いつの間にかなくなっていてさ」
マルぼん「あの指輪なら、3日前にママさんがはめていたよ。そういえば、ママさんの姿、あれから見てねえな。パパさんの姿も」
ヒロシ「父さんなら、2日前に慌てた様子でどこかへ出かけていたな。それ以来、見かけてないね」
ヒロシ「あ、ほら、指輪がでてきたぞ。って、あれ」
掘り返したところから指輪はでてきました。ママさんの指にはまった状態で。マルぼんは『灯台もと暗しCC9』の効果は絶大だと思いました。
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