窓を開けましょ ルルール
ルナちゃんが部屋を改装したというので、見学に行きました。
ヒロシ「うわーひどい。部屋中全面ガラス張り!」
ルナちゃんの部屋は、天井も壁も床も全てガラス張りになっていたのです。
ルナちゃん「私の部屋はね、これ全て窓なの」
ヒロシ「窓」
ルナちゃん「そう、窓。窓から射す太陽の聖なる光が、私を四六時中包み込んでくれるのよ。それにより、私の体は清められ、生命体としてさらに上の存在になるの」
マルぼん「紫外線とかきつくない?」
ルナちゃん「紫外線は、我が教団では『死外線』と書くの。浴びれば浴びるほど死という運命から外れるのよ。さぁ、太陽の光よ私を焼いて!」
ヒロシ「インチキ宗教のインチキな教えにはカケラも興味はないけれど、大きな窓は憧れるなぁ」
望まぬ子としてこの世に生を受けたヒロシは、誕生以来、大沼宅の地下に造られた座敷牢で生活しており、
そこに窓はありません。憧れてしまうのも無理はありません。
マルぼん「そうだ。いっそのこと部屋に大きな窓でも作ろうか。『お手軽工事ロボ』。どんな工事でも簡単丁寧迅速にしてくれるロボットなの」
ヒロシ「こいつで僕の部屋に素敵な窓がつくれるってわけだね。やったー!」
わくわくしながら帰宅すると、家の前に人だかりができていました。
男「あそこいるのは、あの女の息子じゃないか! おい、母親はどこへ行った!」
ヒロシ「な、なんですか。母は一週間前から旅行へ行っています」
男「おまえの母親なぁ、うちの息子をたぶらかして100万も借金させたんや!」
女「私は騙されて、母親の形見の着物を取られたわ、あなたの母親に! 『米と着物を交換してやる』というから着物を渡したのに、肝心の米を渡してくれないの!」
男2「俺は通帳を奪われたぞ!」
男3「俺は希望に満ち溢れた明日を奪われた!」
女2「あたいは家と土地を騙し取られたわ!」
男4「ヤツはとんでもないものを盗んでいきました。私の財布です」
一同「どうしてくれる!?」
ヒロシ「そ、そんなこと言われましても!」
こうして大沼宅には窓ができました。ママさんに関する苦情を受け付ける、ヒロシという名の窓口が。マルぼんは『お手軽工事ロボ』の効果は絶大と思いました。
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