今日できることは
とあるバレンタイン。なななななんと、ルナちゃんがヒロシにチョコをプレゼント。
チョコには次のような手紙が同封されていました。
『私を愛しているのなら、私の目の前でこのチョコを食してください。このチョコには、1滴で象を56頭地獄送りにできる毒が混入されています。私の目の前で、このチョコを食べて生き残ってください。生き残れたら、それは愛の力です。私を愛しているという証拠です』
ためしにチョコの破片を溝に投げ捨ててみると、水が変色し、棲んでいた生き物が死に絶えました。
マルぼん「いっつも思うんだけど、あの女、狂っているよね」
ヒロシ「僕、食う。ルナちゃんの目の前で、このチョコを、喰う!」
マルぼん「マジか!?」
ヒロシ「でも死ぬのはいやだよう! マルぼん、毒を飲んでもピンピンと、なにごともなかったかのように生きていける機密道具をだして~!!」
マルぼん「『先お栗』!」
『先お栗』。たとえば、この栗を食べた人が包丁で刺された時、刺された瞬間は痛みもなければ傷もなく、身体へのダメージもない。時間が経過すると痛くなり、傷ができる。身体もダメージを受ける。
マルぼん「ようするに、この栗を食べた人はあらゆることが先送りになるんだ。それがたとえダメージだとしても」
ヒロシ「先送りされるとはいえ、結局ダメージは受けるんだろ! 毒の効果もでる! 意味ないじゃん! このバカ!」
マルぼん「馬鹿とハサミは使いようさ。『先お栗』の効果は1個につき1日先送りなの」
ヒロシ「?」
マルぼん「『先お栗』を1個食べた人が殴られたとき、体に殴られた影響がでるのは1日後。『先お栗』を365個食べた人が殴られたとき、体に殴られた影響がでるのは365日後。『先お栗』を3650個食べた人が殴られたとき、体に殴られた影響がでるのは3650日後。『先お栗』を36500個食べた人が殴られたとき、体に殴られた影響ができるのを36500日後。だいたい100年後だ。100年後、キミは生きている自信があるか?」
ヒロシ「そ、そうか。『先お栗』を馬鹿みたいに食べて、影響がでるのを、自分が既に故人となっているような途方もない未来にすれば、影響がでようがでまいが、死んでいるからどうでもいいってことだね!」
結局、ヒロシは365000個の『先お栗』を食べました。
ヒロシ「これで毒チョコを食っても、毒の影響がでるのは1000年後! チョコを食った瞬間に死なないで済む! ルナちゃんも、僕の愛の深さを思い知るんだ! ちょっくら、ルナちゃんとこへ行ってくる!」
ルナちゃんの前で毒チョコ『象殺し』を食して愛を示すべく、ヒロシは出立しました。
その後、マルぼんはみらいのせかいの雑誌を読んでいたのですが、気になる広告が。それは、みらいのせかいの機密道具メーカーの広告だったのですが。
広告『弊社製品の「先お栗」に不具合が発見されました。「先お栗」を一度に複数食した場合、「先お栗」の物事を先送りにする効果自体が先送りにされてしまうのです。場合によっては命の危機(後略)』
病院から電話があったのは、間もなくのことでした。
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