マルぼんヒロシの着ぐるみショー
マルぼん「着ぐるみショーを」
ヒロシ「開催してほしいだって?」
ルナちゃん「そうなの。実は、信者の子供たちが集まって勉強している施設があって」
ルナちゃんの宗教では、信者の子供は学校へいってはならず、教団の施設でのみ勉強をすることが許されているのです。もし、施設を脱走しようものなら、窓のない部屋に閉じ込められ、『おまえは地獄におちる』と録音されたテープを24時間365日、フルボリュームで聞かされるのです。
ルナちゃん「実は最近、子供たちの不満がたまってきていて……」
ヒロシ「その解消のため、着ぐるみショーかー」
マルぼん「ようがす。マルぼん、秘蔵の被り物をたくさん提供します。ヒロシ、知ってるだろ。『レザーフェイス社』の着ぐるみ」
ヒロシ「ああ、あの高級品のやつだね。売り上げの一部を恵まれない人に寄付したりしているんだよね、あのメーカー。あれを提供するんだ」
マルぼん「子供たちのためだもの、出し惜しみはしないよ」
ヒロシ「力の限り、がんばろう! 子供たちの笑顔のためさ」
ルナちゃん「ありがとう!」
そんなわけで開催された着ぐるみショー『黄金の惑星~奇跡の力・エレナンタラカンアターレ~(他宗教の信仰をしている人たちが苦しみの果てに死に絶えるという内容の、ルナちゃん作のお話)』は大盛況。子供たちも「世間の風に吹かれたい」「外へ出たい」「ゆるしてくださいもうにげようなんてしませんゆるしてくださいもうにげようなんてしませんゆるしてくださいもうにげようなんてしませんゆるしてくださいもうにげようなんてしません」「TASUKETE」「この施設から出して!」と感涙していました。
ルナちゃん「249万円!?」
被り物の代金の請求書を見せられたルナちゃんが、驚きの声を上げます。
ヒロシ「高級品だもの。それくらいするよ」
ルナちゃん「でも、でも、子供たちのためだとかなんとか……」
ヒロシ「それはそれ、これはこれ ビジネスはシビアにいきたいんです!」
ルナちゃん「にしても、高い!」
マルぼん「ショーの手間賃も入っているし」
ルナちゃん「手間賃って、被り物をして、汗だくになってショーをしていたのは、うちの教団の青年部の者よ!? マルぼんとヒロシさんは、なにもしていなかったじゃないの! キグルミだって着ていなかったわ!」
ヒロシ「僕らは最初から、被り物をしていたよ」
マルぼん「うん」
『羊の皮』という被り物を。
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