飛翔かリターンズ

パパさん「仕事辞めてきた! リアルで!」



ヒロシ「だからこんな人が父親になるのはいやだったんだ! 母さんの男をみるめときたら、フンコロガシ以下だぜ」



マルぼん「仕事を辞めて、なにをなさるおつもりで?」



パパさん「良くぞ聞いてくれました!  会社をつくる!  シャッチョさんになるねん!」



マルぼん「して、その会社の目標は?」



パパさん「そうだな『つぶれない』が目標だ」



マルぼん「もうすこし、『会社を飛躍させる』くらいの目標をたてたらいかがです?」



パパさん「なにが起こるかわからないこのご時世。『会社をつぶさない』という目標がどれだけ大変かわからんか。それに、おれは石橋を叩いて渡る性格なんだ」



ヒロシ「もうちょっと、望みは高く果てしなくわからんちんどもとっちめちんな父親が欲しかっただす」



マルぼん「『飛躍する秘薬』。この秘薬を飲めば、気分が高揚し、『俺はやる。俺という名の翼を広げ、世間という名の空を縦横無尽に飛び回る』という気持ちになって、飛躍を目指すようになる」



 マルぼんとヒロシは、いやがるパパさんに『飛躍する秘薬』を飲ませました。



ヒロシ「どう?」



パパさん「私の会社は人類の平和のために戦う組織とします。社会に巣食うブタどもを殺して殺して殺しまくる予定です。がんばります! まずは、いつも『テレビの音がうるせえ』と言ってくる、隣の家のブタ一家におそいかかります。おそいかかります!」



 話まで飛躍させてしまう『飛躍する秘薬』の効果は絶大だとマルぼんは思いましたが、刃物片手に家を飛び出すパパさんを止めるのに必死だったので、口にはしませんでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る