土器土器ポヤッチオ
パパさん「ごろごろーごろごろー」
マルぼん「なんか今度のパパさんはいつもごろごろしているね。平日の昼間から」
ヒロシ「仕事がなくて、極めてヒマなんだってさ」
マルぼん「それってうちの家計にもろ響くし、マズいんでねえ?」
ヒロシ「でも、なんの変哲もない小学生である僕にはどうすることもできないよ。諦めて飢えようや。そして死のうや」
マルぼん「諦めるのはおよしなさい。こういうときこそマルぼんの出番だね。『かきいれ土器』!」
ヒロシ「どんな機密道具?」
マルぼん「この土器を店の前に置くと、それから一ケ月、その店は常に書き入れ時になるんだ。たとえば飲食店なんかだと昼食の時間帯にお客がいっぱいきて書き入れ時になるだろ。この土器をおけば、そのお客がいっぱいくる状況が一ケ月間ずっと続くんだ」
ヒロシ「どんなにうまくいっていない仕事でも、書き入れ時くらいは利益がある。その利益があるときが一ケ月でも続けば……よし。こいつで新しいお父さんの仕事を助けよう」
ヒロシは『かきいれ土器』を家の前に置きました。
マルぼん「家の前でいいの?」
ヒロシ「新しいお父さんの仕事は店舗とかが必要じゃないらしいんだ。仕事に関する電話も家にかかるようにしているし」
マルぼん「そうか」
と、その時、家の中から電話の鳴る音がしました。
マルぼん「おそらく仕事の電話だぜ」
しばらくすると、パパさんが満面の笑みを浮かべて飛び出してきて
パパさん「仕事だよ、仕事! あっちゃこっちゃから仕事の依頼が舞い込んできたんだ! 忙しくなるぞ!」
パパさん、いきいきとした表情で駆け出していきます。
ヒロシ「書き入れ時がはじまったんだね」
マルぼん「さっきパパさん、なんか拳銃を持っていたような……」
と、その時。耳を貫くかのような爆音が。
ヒロシ「空を見て!」
なんということでしょう。いつの間にか空にはたくさんの戦闘機が飛んでいて、鳥が糞でも落とすかのように爆弾を投下しまくっているではありませんか。
ママさん「薄笑町の爆撃機よ。ついさっき、微笑町に宣戦布告したらしいわ!」
隣町の薄笑町は、長年の間、微笑町とは対立関係。何度も争いが起こりました。過去、幾度も繰り返された悲劇が、今ふたたび起きてしまったのです。とるものもとりあえず、避難するマルぼんたち。
ママさん「こんなときにダーリン(今のパパさん)がいれば」
ヒロシ「どうして?」
ママさん「彼の職業ね、傭兵なのよ」
マルぼんは「かきいれ土器」の効果は絶大だと思いました。
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