平和のためなら人命なんて

テロリスト「こんにちは。反政府テロ組織『まじかるぶれいど』でーす」



ヒロシ「なに、また学校占拠?」



ルナちゃん「最近、回数多くない?」



テロリスト「あいすいません。あ、こちら、縄です。互いの腕をしばってくださいね」



ヒロシ「もう慣れたよ」



金歯「ヒロシ、妙に手馴れた手つきでおじゃるな」



ナウマン象「今日はどんな要求するの?」



テロリスト「町内の銭湯の、総混浴化ですね」



ヒロシ「うへっ! 理想郷!」



サユリちゃん「もう、ヒロシさんのエッチ!  欲望の権化!  ぷんぷんっ」



大脳「今日は塾があるから早く帰りたいでヤンス」



テロリスト「あ、大脳さんは外に出てもらって結構ですよ」



大脳「じゃ、皆様、さようならでヤンス」



ヒロシ「ええ!!  大脳だけ!?  僕も解放してよ! 観たいサスペンスの再放送があるんだ」



サユリちゃん「私だって、ピアノのおけいこが」



金歯「財政界の大物との会食が」



 ガガガガガガガッ(マシンガン乱射)



テロリスト「うるさいですよ」



ヒロシ「ちくしょう、えこひいきかよう!」



 多くの犠牲者を出しつつも事件が解決し、捕まったテロリスト全員の刑が執行されたのち……



ヒロシ「かくかくしかじか! かくかくしかじかー!!」



マルぼん「なるほど。大脳のヤツがテロリストにえこひいきされているのが気に食わないから、機密道具でなんとかしてください、将軍サマ!  ってことだな」



ヒロシ「YES!」



マルぼん「ならば用意しましょう」



知らないおっさん「ウィ~」



ヒロシ「なんだ? たんなる酔っ払いのおっさんじゃないか」



マルぼん「このおっさんの息はね、100万人に1人あるかないかの『えこひ息』なんだ」



ヒロシ「その『えこひ息』とやらを吸引すれば、えこひいきされるようになると?」



マルぼん「そういうことだね。さぁ……」



おっさん「ウィ~」



マルぼん「おっさんの息を、心ゆくまで吸引するんだ」



 そして



ヒロシ「ゲホゲホッ……なんか、なんか大切なものを失った気がする。涙が止まらないよ……」



マルぼん「でもこれで、キミはえこひいきされる人間になるよ」



ヒロシ「本当かね……」



テロリスト「ヒロシくーん」



ヒロシ「あ、『まじかるぶれいど』の残党」



テロリスト「まだ鯨を取ろうとしている漁船があるんだ。爆弾投げにて、沈めてやろうぜ!」



テロリスト2「『まじかるぶれいど』は自然にやさしいテロ活動を中心に活動していくのさ」



ヒロシ「え、おたくらそっち方面に舵取りしたの?」



テロリスト「そのほうが世間に受けるしお金も集まる。そんなことより、森林伐採をしている企業を見つけたよ。社屋の玄関前で割腹自殺して、色々訴えてやろう! 最後の力を振り絞って、血で『怨』と書いたりしたらインパクトでかいよ!」



テロリスト2「この活動、素人は参加禁止なんだけど、ヒロシくんだけ特別扱いだよ。さぁ、行こう。さぁ!」



ヒロシ「わ、わわわわわ!?」



マルぼん「エコテロリストにひいきされている。これが本当の、エコひいき……エコひいき!!」



おっさん「ウィ~」



 マルぼんは『えこひ息』の効果は絶大で、それを使いこなすおっさんが身内じゃなくて本当によかったと、胸をなでおろしました。

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