プレミア商法はこりごりザンス

 政府の腐敗、止まらない各地の諸侯の反乱、飢饉、豪商による買占め、襲いかかるイナゴの大群……様々な理由で、微笑町は深刻な食糧難の真っ最中です。



 日本を始め、世界各国が食糧支援を決定してくれたのですが、いつ我々国民の元に食料がくるのかさっぱりわかりません。



マルぼん「いつ来るかわからないとなると、今現在、店頭で鬼のような値段で売られている食料を買って、命という名のリレーをするしかないね」



ヒロシ「しかし先立つものはナシ。そこでさっき言った作戦さ」



マルぼん「標的に無意味なプレミアをつけ、価値をあげまくる『プレミア光線銃』で、ゴミみたいな代物を高く売りさばくという作戦ですな」



ヒロシ「どこの馬の骨とも知れないおっさんの体毛が混入された泥水を、ありがたい聖人の神毛入りの聖水(1リットル55000円。どんな病気もイチコロよ! 買わない人は、聖職者の力で地獄に堕とします!  金がないなら借りてこい!  あと、家売れ、家!)にはやがわりさせることができる『プレミアム光線銃』なら、僕らに莫大な利益をもたらしてくれるさ!」



マルぼん「OK。さっそく町に出て、ゴミみたいな代物を探しに行こうぜ!」



ヒロシ「町はでっかいたからばこ~」



警官「貴様ら。こんな深夜になにをしている」



ヒロシ「公僕!?」



警官「貴様が手にしているもの、銃じゃないか! さてはそいつで食料泥棒でもしようって寸法だな! 泥棒には、死という名の永遠のやすらぎをくれてやるっ!」



マルぼん「こ、このポリスメン。小学生に容赦なくショットガンを向けてきた!!」 



 このサイト始まって以来のピンチです!そんなピンチにマルぼんたちがとった行動とは!?



ヒロシ「それ! 恥も外聞もかなぐりすてて、ナメクジのようにはいずって逃亡だ!」



 ダッシュで逃亡することでした。マルぼんたちは一匹の獣と化して必死で逃げましたが、ポリスメンは「逮捕だ~!」と叫び、ショットガンを乱射しつつ追いかけてきました。そうこうしているうちに港にまでたどり着いてしまいました。逃げ場がなくなり、追い詰められるマルぼんたち。



ポリスメン「地獄の女神への挨拶は考えたか、蛆虫ども」 



マルぼん「くっ。万事休す。こうなったら…」 



 マルぼんはそこらにおいてあった荷物に向かい、『プレミア光線銃』を発射しました。光に照らされる荷物。



マルぼん「ほら、これは銃じゃなくて、愉快な遊び心に溢れた懐中電灯だったのでーす!」



 ポリスメンは無言でショットガン発射。玉はプレミア光線に命中し、光線銃大破。 



ポリスメン「さぁ、さよならだ」 



ヒロシ「いまだっ!」 



 最大のピンチのという時、ヒロシが偶然に所持していたクロロホルムをしみこませたハンカチを使い、ポリスメンを眠らせることに成功しました。 



 命は助かりましたが、今回の作戦は実行不可となったマルぼんたち。とりあえず、眠っているポリスメンの制服と警察手帳とショットガンと弾を拝借し、失意のまま、帰宅したのでした。



ヒロシ「これを売って小銭を稼ぎ、支援物資を待とうよ」 



マルぼん「そうだね…あ、さっき光線銃で撃った荷物どうしよ。……ま、いいか」



 それから数ヶ月。支援物資は届く気配すらありません。マルぼんとヒロシは、家主と居候から、(食料として)狙うものと(食料として)狙われるものにその関係を変化させています。ハラヘッタ…… 



ママさん「さっき闇市に行ったら、食料が売っていたわ。いつもよりバカ高い値段だったから買えなかったけど。でもあの食料…」 



マルぼん「食料がどうしたの?」 



ママさん「袋に国連だの日本だの書いてあったの。あれ、もしかしたら…」



 プレミア商法もほどほどに。 

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