ヒロシがルールでルールがヒロシで
ヒロシがぼろ雑巾のようになって帰ってきました。
なんでも、ナウマン象の運転する自転車に跳ね飛ばされ、その勢いでドブに落ちて自尊心を激しく傷付けられた上、運悪く医療廃棄物の不法投棄の現場に出くわし、ひょんなことから不法投棄をしていた業者の車のトランクに隠れることになり、そのまま山奥や海外など色々なところについて行ってみたら、大人や社会や人の命を救う神聖な場所であるべき病院の黒い面をまざまざと見せつけられてしまったそうなのです。
「自転車も車だから運転するのに免許がいるようにしろ!」と珍しく怒りまくるヒロシは「この世のあらゆることに免許が必要になる機密道具だしてー!」とマルぼんに泣きついてきました。
マルぼんは『オレガールールダー』という機密道具を出してあげました。本の形の機密道具で、これに書き込んだ行為には資格や免許がいるようになります。例えば「自転車に乗ること」と書きこめば、自転車に乗るのに資格がいるようになるのです。 ヒロシはさっそく『オレガールールダー』に「自転車に乗ること」と書き込みました。。
しばらくすると「キャー」という絹を裂くようなガキ大将の悲鳴。
外を見てみると、政府の犬である無免許Gメンにより、自転車の無免許運転の罪で\『収容された者は虫けら以下の扱いを受けることで有名な強制収容所』に連行されるナウマン象の姿。
これから彼は「『穴を10メートル掘ってすぐ埋める』ということを日がな1日繰り返す」という非常に建設的な労働に従事し、一生かけて罪を償っていくことになるのです。
翌日。ヒロシが明日の向こうに別の何かを見つけ出した男の目をして帰ってきました。
なんでも今日はテストが返ってきて、大脳は100点満点の試験で200点も取ったにも関わらず、ヒロシは-50点という散々な点数で自尊心が激しく傷付けられた上に、放課後、答案を隠そうと裏山へ行って穴を掘っていると、運良く油田を発見し「やったー!これで大金持ちだー!」と喜んでいたら、担任の生倉先生に現場を見つかり「学校に油田を持ってきたらだめだろ!」と油田を没収されてしまったそうなのです。
憎しみという名の炎にその身を焦がしたヒロシは「試験なんかで僕の熱い情熱は止められねえ」と、『オレガールールダー』に「テストで良い点を取ること」と書き込みました。これからしかるべき教習所でしかるべき資格を取っていない人がテストでよい点を取った場合、政府の手によりしかるべき収容所に強制的に収容されることになるのです。
しばらくすると、外から絹を裂くようなクラスの天才児の悲鳴。外を見てみると、大脳が政府の人に連れて行かれるところでした。
これから大脳は、どこかの山奥にある強制収容所で「1年間、夜も寝ないで必死に受験勉強を続け、いざ受験をしに行ったら試験内容が『1+1は2である。〇か×か』という1題だけだったといった感じの人生をひたすら繰り返す」という非常に建設的な労働に従事し、一生かけて罪を償っていくことになるのです。
さらに翌日。ヒロシが死んで腐った魚のような目をし、死んで腐った魚のような臭いをその身に纏い、帰ってきました。
なんでも、病気がちのおばあちゃんのために高価な漢方薬を買ってあげようと文字通り身を粉にして働いていたら金歯に焼きいもパーティーに誘われ、行ってみるといもを焼くための燃料が全て札束で、しかも欲しかった漢方薬は砂場で砂代わりとして使われていたという光景にでくわし、金歯の発した「焼きいも焼くには一万円札に限るね!」というセリフ自尊心を激しく傷付けられた上に、腹いせに金歯一家の脱税をしかるべき組織に密告したら、「金歯様一家になんと恐れ多い!」と逆にしばかれてしまったそうなのです。
悲しみという名の炎でその身を焦がしたヒロシは「資本主義の奴隷どもが!」と、『オレガールールダー』に「金持ちが生きること」と書き込みました。これからしかるべき教習所でしかるべき資格を取っていない金持ちが生きていた場合、法の網をかいくぐってヌクヌクと生きている悪党を処刑する闇の仕置人の手によりしかるべき収容所に強制的に収容されることになるのです。
しばらくすると、外から絹を裂くようなクラスの金持ちの悲鳴。外を見てみると、金歯一家が普段は昼行灯のダメ同心として知られている凄腕の仕置人に連れて行かれるところでした。
これから金歯は、「バスチーユ監獄に収容されているところを暴徒と化した民衆に『早すぎる死と永遠の自由。どっちがいい?』と襲撃され、非業の死を遂げる」という非常に建設的な労働に従事し、一生かけて罪を償っていくことになるのです。
またも翌日。ヒロシが「(この空白に好きなフレーズを書き込んでいただけると、ヒロシが皆さんの考えたオリジナルの状況に追い込まれます。どんどん書き込んでください)」な状態になって帰ってきました。
なんでも幼稚園のワンゲル部で一緒だった友人と再会したそうなんですが、その友人は変わり果てていたそうで、冬のアルプス登山で崖から落ちそうになって「ザックをきるきらない」の状況下でヒロシに助けられたという大きなカリも忘れ、「ヒロシってなんかつまんない人間になったよな」とか暴言を吐いてきたそうなのです。
友情の儚さにその身を震わせたヒロシは「カリでも金でも人に借りたものを返さないヤツは最悪だ! 貸し借りにも資格がいる!」と、、『オレガールールダー』に「人のものを借りること」と書き込みました。これからしかるべき教習所でしかるべき資格を取っていない人が他人のものを持っていった場合、処刑されます。
しばらくすると弁護士がヒロシを訪ねてきました。なんでも、おとついにヒロシの油田を没収した事で学校全体が罰せられ、油田がヒロシの手に戻ってきたそうなのです。
「大金持ちだぁ!」と大喜びのヒロシ。マルぼんも一緒に喜んでいたら、今度は見知らぬ人がやって来ました。
見知らぬ人「私、闇の仕置人なんですが、あなた金持ちだよね? 生きる資格持ってないでしょ。はい、無免許。はい、連行。はい、収容所。はい、バスチーユ監獄」
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