一期一会はコリゴリざんす

ヒロシ「あ、ハンカチを落されましたよ」



少女「ありがとうございます」



ヒロシ「……」



少女「……」



ヒロシ「それじゃ」



少女「では…」



ヒロシ「ということがありました。間違いない。彼女、ボクに惚れました。確実です。確実です。定説です。最高ですかー! 最高でーす!!」



マルぼん「ある意味しあわせな人だ」



ヒロシ「このしあわせな気分も、彼女とボクの出会いが一期一会だったからにちがいねえ。一期一会最高。一期一会最強! 何度でも誰とでも一期一会ができる機密道具出せ!」



マルぼん「『一期一会イチゴ』。このイチゴを食べてから会った人とは、二度と会えなくなる。ただ、かなり癖のある使い方な道具なんだよ。いいか、よく聞けよ。このイチゴを食べたら……」



ヒロシ「うわー。最高だ。さっそくたべよう。むしゃむしゃ」



マルぼん「うわ、こっちを見るな、こっちを……げふっ」



 マルぼんは死にました。



ヒロシ「このイチゴを食べた者に見られたら、死ぬ。こういう意味で二度と会えなくなるのか。あぶねえあぶねえ。おいマルぼん、いつまで死んでいるんだ。生き返れよ」



マルぼん「おう。マルぼんが死んでも問題ない生き物だったからよかったものの、普通の人間は生き返られないんだ。気をつけなよ。しかしやっぱい危険な機密道具だ。あとで破棄しよう」



 幸いにもイチゴが消化されると効果はなくなります。



ヒロシ「そうだね。よし。やなことは忘れて遊びにいこう」



ママさん「あら、こんなところにイチゴが。ちょうどいいわ」



 外行きの和服姿のママさん。『一期一会イチゴ』を持って出かけていきました。出かけ先は、ヒロシの新しいパパさん候補の代議士の金尾為輝氏のところ。



金尾為輝「いちごヒロシくんに『おとうさん』と呼ばせてみせるぞ、がはははは」



ママさん「頼もしいですわ、このイチゴ、よければどうぞ」



金尾為輝「ありがたい、がはははは。イチゴは大好物なのですよ。がははははは。うどん子さんの唇みたいな味がするからね。ガハハハハハ」



秘書「先生、該当演説の時間ですよ」



金尾為輝「がははははは。そうか。よし、景気づけにこのイチゴをたべて。もしゃもしゃ」



 金尾氏は、町の人々でごったかえす駅前へと繰り出しました。



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