挨拶の魔法
ヒロシ「友達できないし、世を儚んで、自ら息を引き取るよ」
友達が少ないことすら個性なり、ラノベの主人公とかになれるこの時代。それでもヒロシは、この世におさらばを宣言するのです。
マルぼん「そりゃおめえ、外で他人様と会ってもよ。挨拶のひとつもしねえんだから、友情なんてカケラも育めやしないよ。悪いこといわないから、挨拶だけはきちんとしろや」
ヒロシ「挨拶なんてくだらねえ」
ヒロシは昔、挨拶したのに思いっきり無視されるということがバカみたいに続いたことがあり、挨拶が大嫌いなんです。たまに挨拶してくれる人がいても、正月でもないのに「あけましておめでとう」とか、からかい半分。だから挨拶を憎んですらいるのです。
マルぼん「仕方ねえや。この薬を飲みな。他人様と会った時、必ず挨拶してくれるようになる薬。その時の自分に最も適した挨拶をしてくれるようになるから、からかい半分で変な挨拶されることもないから安心しな」
その薬を飲んだヒロシ。翌朝、学校に行ってみますと、通学路で出会う人出会う人……
ルナちゃん「おはようございます」
金歯「ヒロシ氏、おはようございます」
ナウマン象「おはようございます」
ヒロシ「みんなきちんと挨拶してくれる! なんて心地よいことか!」
その後も会う人会う人、挨拶してくれます。
「おはようございます、ヒロシくん」
「大沼くん。おはようございます」
「おはようございます!」
「おはようございます!!」
「あ、大沼くん。この度はまことにご愁傷様でした……」
「お寂しいでしょうが、お力落としのございませんよう」
ヒロシ「え?」
マルぼん「ヒロシ大変だ! 今、病院から電話があって、ママさんが車にはねられたって……!」
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