返品騒動


ヒロシ「あ! この前買ったデジカメ、不良品だ!」



マルぼん「どうして?」



ヒロシ「撮った写真のほとんどに、見知らぬ女とか見知らぬ手足が映っているンだ!こっちなんか、ルナちゃんの頭部が消えうせて背景が見える状態だよ」



マルぼん「それは酷いなぁ。せっかくヒロシが血反吐を吐いて稼いだ金なのに。ようがす。これを使おう。『返品壷』」



ヒロシ「どんな機密道具なの?」



マルぼん「不良品をこの壷に入れると、その不良品は自動的に製造元に送りかえされ、数日後、修理してもらった状態で返ってくる。もちろん無料でね」



ヒロシ「それはすごいや」



 壷の蓋を開けると、デジカメがものすごい勢いで吸い込まれていきました。『返品壷』は不良品と認識されたものを自動的に吸い込んでくれます。



ヒロシ「これで数日後、パーフェクトな状態でデジカメは返ってくるんだね」



ナウマン象「ヒロシー!!」



ヒロシ「あ、ナウマン象」



ナウマン象「どういうことだ!? 『命の尊さを知りたいから』と言っていたから嫁の出産に立ち合わせたのに、その出産の時の映像がネット上にばら撒かれているじゃねえか!!」



ヒロシ「出産シーンマニアの友人がいたんだよ。たぶん、そいつ関係で流出したものかと」



ナウマン象「挙句、ルナちゃんに出産がが無事に終わるように祈ってもらったら、生また子には角と翼と尻尾が生えているし! どうしてくれんだ!!」



ヒロシ「可愛がってあげてください」



ナウマン象「な、なに~謝罪の一言もねえのか! おまえ、人間としていかがなものかと思うぞ!! 頭おかしいんじゃねえの!?」



 その時でした。ヒロシが『返品壷』に吸い込まれたのは。



マルぼん「ナウマン象の言葉で、ヒロシが不良品と認識されたんだ!」



ママさん「ぎゃー!!」



 1階から、絹を裂くよなママさんの悲鳴。マルぼんとナウマン象が急いで1階へ降りると、お腹が異様に膨らんだママさんが、のたうちまわっていました。



 今まさに、ヒロシは製造元へと返品されたのです。マルぼんは『返品壷』の効果は絶大だと思いました。

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