発光ダイヨード
マルぼんが部屋でくつろいでいると、金歯の家のほうから爆音がしました。なんだろうとか思っていると、憔悴しきった表情でヒロシが帰宅。
マルぼん「なんか爆発していたけど、原因は貴様?」
ヒロシ「金歯の家で遊んでいたんだけど、ちょっとやらかしちゃってね、金歯の家の護衛用巨大戦闘ロボ部隊を壊滅させてしまい、多数の犠牲者を出してしまったんだ」
マルぼん「ほうほう」
ヒロシ「で、さっきまで警察にしぼられていたんだ。『もう! こんなことしちゃいけません! めっ!』って」
マルぼん「なにやっても『いけません!』ですむから、日本はいいよな。」
ヒロシ「金歯も『ぷんぷん!』と激怒してさ、『かわりの戦闘ロボ用意しろ』だって。だからさ、出してよ、戦闘ロボ」
マルぼん「戦闘ロボとか、ないから」
ヒロシ「むむむむ無責任!!」
マルぼん「仕方ないな。こいつを使おう『発光ダイヨウド』」
ヒロシ「懐中電灯?」
マルぼん「ここにさ、きゅうりに蜂蜜をかけたヤツがあるからさ、『メロン』と言いながら、『発光ダイヨード』の光を当ててみな」
ヒロシ「メロン!!」
マルぼん「食べてみ」
ヒロシ「もぐもぐ…ああ!? きゅうりがメロンの味がする!! オーマイコーンブ!!」
マルぼん「ここにかっぱえびせんにマヨネーズをつけたヤツがあるからさ、『エビフライ』と言いながら、『発光ダイヨウド』の光を当ててみな」
ヒロシ「エビフライの味がするー!! オーマイコーンブ!!」
マルぼん「『発光ダイヨウド』は自分の好きなものの代用品を作り出すことができる機密道具。こいつの力で、戦闘ロボの代用品を作ればいいんだ」
ヒロシ「使える機密道具じゃないの!!」
マルぼん「でもだね、代用品を作りたいものと代用品にするものがある程度似ていないと、『発光ダイヨウド』の効果はでないんだ」
ヒロシ「戦闘ロボに似ているものか。よし、とりあえず『ロボット』と連呼して、『発光ダイヨウド』の光をあちこちに当てまくろう」
「ロボット」「ロボット」と連呼して、『発光ダイヨウド』の光を撒き散らすヒロシ。
ママさん「ヒロくん、ごはん…」
光は、ヒロシの部屋に入ってきたママさんを直撃しました。
ママさん「ワタシヨリ シアワセナニンゲン シネ」
ヒロシ「お母さんがロボしゃべりをはじめたぞ」
マルぼん「ママさんは今、モデルくずれの男をヒモにして、彼の言われるままに働いたりお小遣いをあげている。いわば、モデルくずれが操縦者。だから戦闘ロボの代用化ということになったのだ!」
ヒロシ「その理論は無茶だと思うのですが。あちこちから苦情きそうなんですけど」
とりあえずママさんは、金歯の戦闘ロボ軍団の隊長専用カスタム機として各地の戦場を駆け巡り、第二の人生を満喫しています。
『発光ダイヨウド』がいたくお気に召したヒロシは『世間を騒がせたいと思った』と取調べで答えるべく、町へと繰り出しました。
ヒロシ「うん? なんかあそこの工事現場で、エライさんらしき背広の男が、現場責任者らしき男に殴る蹴るの暴行を加えているぞ。いかがなされた?」
背広「こいつが…どこの馬の骨ともわからない女から生まれたこいつが資材の発注ミスをしちまってよ…しかも資材が足りないままビルを完成さしちまったから、耐震性が絶望的なんだ。安全面がガタガタなんだ…この豚!! 醜い豚!!」
現場責任者「あうっ!!(もっと! もっと激しく!)」
ヒロシ「お待ちなさい。なんとかなるかもしれないですぞ」
背広「なんですって!?」
ヒロシ「この懐中電灯の光をですね『耐震性』とか叫びながら、適当なものに当ててみてください。代用品ができるかもしれませんぞ」
背広「『耐震性』『耐震性』!!」
ヒロシ「う~ん無理か。それなら率直に『安全』とか叫びながら、いまいちど」
背広「『安全』『安全』!!」
ヒロシ「まぶし!! な、なんで僕に光を当てるですか!?」
???(その願い、かなえよう)
ヒロシ「い、今、なんか神々しい声が聞こえなかった!?」
一同「はぁ?」
???(そのビルの安全は 私が保障しよう)
ヒロシ「たしかに…たしかに今、神々しい声が!! げぼっ」
その夜、ヒロシは病院で息を引き取りました。
例のビルは、その後幾多の震災を耐え抜き、未来の世界でも立派にその姿を見せてくれています。
最近、本で読んだのですが、昔は新しい橋や建物をできる際、罪人なんかを生贄捧げて安全を祈願したそうですね。昔の人の知恵ってすんごいですね。
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