マルぼんファンクラブ

 マルぼん、ここのところファンクラブがほしくて仕方がない。そういうのが作れる機密道具があることを思い出したので、さっそく使ってみたその翌日。



デモメンバーA「マルぼんさんだね」



デモメンバーB「がんばって! あなたは一人じゃない!」



 なんのことかわからないマルぼんが呆然としていると、デモメンバーの代表だという初老の男性が、事情を説明してくれました。



池崎「私は池崎という者です。『マルぼんを見守る会』の会長を務めさせてもらっています」



見守る会会員A「池崎さんは元新聞記者。定年後は、社会の弱者を助けるための活動を続けているんですよ」



見守る会会員B「池崎さんほど人を大切にする人はいないよ。西に路上カラオケが撤去された人がいたら煽って行政相手に裁判を起こすように仕向け、東にホームレスがいたら煽って行政相手に裁判を起こすように仕向け、北に猟奇殺人を起こして逮捕された未成年がいたら煽って行政相手に裁判を起こすように仕向け、南に〇〇〇がいたら煽って行政相手に裁判を起こすように仕向けるという、聖者のような生活を送ってらっしゃるんだ」



池崎「随分前から、マルぼんさんには注目していたんです。変わっているけれどか弱い生き物だな、って。だから有志を募って『見守る会』を結成させていただいたのですよ」



マルぼん「ちくしょう! 不良品の機密道具だったか! ファンクラブはファンクラブでもベクトルがちがうやつじゃねえか!」



池崎「マルぼんさんが飢えないように、餌になるホタテやアワビを町に撒いていたんですよ。でもマルぼんさん、まるで手をつけようとしないじゃないですか。これはきっと、マルぼんさんが下宿先で虐待を受けて、ストレスがたまっているからに違いないと思ったんです。だから、そんな弱者のことを考えもしない人間のクズに正義の裁きを食らわすべく、こうして活動させていただいているんです」



見守る会会員たち「(ヒロシ宅に向かって)マルぼんさんに謝れー! 国はマルぼんの住んでいるところ半径50キロ内にある空港を他所へ移転しろ! 未来の世界から21世紀に強制連行されてきたマルぼんに、政府は謝罪と賠償を! 字を読み間違った町長は退陣せよ!」



マルぼん「マルぼん応援にかこつけて、別の要望を押し通そうとしてません?」





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