ヒロシ、声優を脅迫するの巻

 ヒロシがなにやら書いているので、カツオの書いている日記を強引に奪い取るサザエさんみたいなノリで内容を見てみたら、某声優への脅迫文でした。



「なんで声優を脅迫するの? なんで声優を脅迫するの?」



「許せぬのだ。僕はこの声優を許せぬのだ!」



 その理由を説明しろとマルぼんが詰め寄ると、ヒロシはある動画を見せてきました。それは現在放送中の人気アニメ「虫けら探偵グルメ小三郎」と連動しているネット配信の番組で、「虫けら探偵グルメ小三郎」に出演中の声優やスタッフが出演してあれこれやと騒ぐという内容です。ヒロシが見せてきた回では、出演している声優のひとりが、『ズビズバ子』というキャラクターのことを散々バカにしていました。



「これは人権侵害だよ! 名誉棄損だよ! ズビズバ子が可哀想だ! ヒロインなのにこんなに馬鹿にされて! だからこの声優に苦情を送ろうと思ったんだ!」



「いうても架空のキャラクターだぜ」



「架空のキャラクターに人権を与える機密道具をだして!」



 そんなわけでマルぼんは、手軽に人権をゲットできる申し立て書を用意しました。

この申し立て書に人権を与えたいものの名前を書いて役所に提出すれば、たとえ使用済みの注射器だろうが何だろうが人権が付与され、本物の人間同様に扱われるのです。早速、『ズビズバ子』の名前を記入した申立書を役所に提出するヒロシ。



 数日後、謝罪会見をひらいているあの声優の姿が!



「はははは。ざまあないね。これで心置きなく、『虫けら探偵グルメ小三郎』を楽しめるってわけだ」



 心やすらかになったヒロシは、「虫けら探偵グルメ小三郎」のお気に入り回である「第7話 ズバ子の休日」の録画の観賞を開始。ズバ子のなにげない一日を追った、特にヤマもオチも意味もないけれど人気の回です。この回が大のお気に入りであるヒロシは、何度も再生しました。何度も観賞しました。何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。



「おい、ヒロシ。警察が来てるぞ。なんでもストーカーの容疑がかかっているとか」








 



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