いちげんさん大歓迎の巻

 「美人女将に会える子供でも入れる居酒屋(非合法)」の噂を聞きつけたヒロシは、表ざたにできない手段で稼いだ金を持ち、さっそくご来店。しかしそこで彼を待っていたのは、常連といちげんさんの扱いがあからさまに違うという現実だった。ひょっとしたら美人女将と年ごろな仲になれるかもと思っていたヒロシは、泣きに泣き、怒りに怒り、荒れに荒れ、狂乱の末に悲しみを背負って帰宅した!



「マルぼん! いちげんさんだけど常連さんみたいに扱われるようになる機密道具だしてえ!」



「『常連のれん』。この暖簾をくぐれば約一年間。あらゆる場所で常連さんの扱いをされるようになるんだ」



 早速『常連のれん』の下をくぐるヒロシ。と、そこへ国家権力が。



「『美人女将に会える子供でも入れる居酒屋(非合法)』で大暴れしたそうじゃないか。逮捕な」



 しばらくして行われたヒロシの裁判では裁判長はなにやらおこったようす



「被告はさぁ。何度も何度も犯罪やらかしてさぁ。反省してへんやん。改心もせんやろ。判決は死刑や。山田くんギロチン持ってきて」



「裁判長! 今回の話の世界線では僕、初犯ですよ!? 居酒屋で暴れたのが生まれて初めての犯罪なんですよ!? なんで何度もやらかした扱いになっとるんです」



「知らんわ。はよギロ持ってきて!」



 マルぼんは、司法の場でもヒロシを常連扱いしてしまった『常連のれん』の効果は絶大だと思いました。

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