ヒロシのごきげん心霊写真

 かねてより、「自分とルナちゃんの血をひいた命をこの世に誕生させたい!」と思っていたヒロシ。ある日、思い切って聞いてみた!



ヒロシ「ルナちゃんの、どんな人がタイプなの」



ルナちゃん「悪霊にとりつかれている人」



 ルナちゃんが熱心に活動している宗教団体では、月に一度「御山昇り」なる行事がありまして、これがまぁ、「聖なるパワーを秘めた御山に登ることで聖なるパワーが身につき、色々あって教団の財政が潤う」という素敵な行事なわけです。ルナちゃんも毎回、アホみたいに参加していやがります。



 ルナちゃん、自分に聖なるパワーが身についていると信じて疑わない。そして、その聖なるパワーを発揮したくて仕方がない。てっとりばやく発揮するには、悪霊払いとかそんなことしかないわけで、だから「悪霊にとりつかれている人」が好みのタイプというわけです。



ヒロシ「僕、実は悪霊にとりつかれているんだ(大ウソ)」



ルナちゃん「本当に? それなら写真を撮らしてよ。ヒロシさんの写真。強力な悪霊にとりつかれているのなら、心霊写真が撮れちゃうはず」



ヒロシ「ちょ、ちょっと待ってね! こんなナリじゃあんまりだから、着替えてくる!」



 うまいこと言って家に逃げ帰るヒロシ。まぁ、マルぼんに頼るしかないわけでして



ヒロシ「心霊写真が撮れるようになる機密道具だしてー!」



マルぼん「それならこいつを使おう。心霊写真がお手軽に撮れちゃうようになる薬『苦悶真人』だ! こいつを飲んだ人が写真を撮られると、苦悶に満ちた男の顔が写りこんだり、体の一部分が写らなかったりするようになる」



 ヒロシ「ひゃっはー!」



 薬を飲みほしたヒロシは喜びいさんで家を飛び出しましたが



 キキーッ! ドーン!



マルぼん「ああ、ダンプカーが! ヒロシをはねたー! ヒロシィィィィィ!」



 すぐに近くの病院に搬送されるヒロシ。



マルぼん「ドクター! ヒロシの容態はどうなんです! 逝くんですか! 逝かないんですか!」



ドクター「う~ん、それがねえ、このままだと危ないのっては確実なんですがねー。状態を調べようにも、こんなのばかり撮れちゃうから、どこがどうアレなのかは、よくわからんのですわ」



 そう言ってドクターが見せてくれたヒロシのレントゲン写真は、苦悶に満ちた男の顔が写りこんでいたり、肝心な部分が写ってなかったりで、確かに分かりにくいことこの上ありませんでした。手の打ちよう、皆無! 納得っ



 それから少しあと、ヒロシはその短い生涯を終えました。マルぼんは、レントゲン写真とかだってもれなく心霊写真にしてしまう『苦悶真人』の効果は絶大だと思いました。

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